トランプよさらば

 ジョー・バイデンが現職のドナルド・トランプを破り米国次期大統領に当選した。決まるまで時間がかかり少しモヤモヤしていたが、これでスッキリ、何よりトランプとオサラバできるのが嬉しい。

 バイデン氏は高齢でもあり、正直そんなに期待はしていない。周りがしっかりサポートする必要がある。むしろ初の女性として副大統領に就任するカマラ・ハリス氏に希望を抱く。彼女はひょっとして初の女性大統領になるかもしれないから。

 それにしてもトランプ、法廷闘争に持ち込み大統領職にしがみつこうとしているが、もう無理だ。口では偉そうなことを言うが、裏では逃亡の準備で忙しいに違いない。負け犬にいつまでもすがりつく側近などいるはずがないし、トランプ陣営がバラバラになるのは時間の問題。

 かつて第二次世界戦後の数年間、マッカーシズムで狂った状況に陥った米国。このトランプの4年間、差別と格差と分断が拡大し、新型コロナに対する無策から現時点で23万人以上が死亡、おそらく赤狩りの時代と同様、負の期間として米国史上に刻まれるに違いない。

 ところで、トランプが大統領になってからというもの、「アメリカ第一主義」が声高に叫ばれるようになったが、しかしこれは嘘であり、トランプの本音ではない。元々民主党こそが「アメリカ第一主義」であり、共和党もそうだった。

 ではトランプは何かと言えば「自分第一主義」なのだ。トランプはさすがに「自分第一」と声高に叫べないから、「アメリカ第一主義」とカモフラージュし、大衆迎合を装い、大勢の国民の心をくすぐり続け、一定の強固な支持基盤を作ったわけだ。

 今の共和党はかつての共和党ではなく、トランプ党に成り下がった。ほとんどトランプに支配されそうになったが、今回の大統領選でトランプが落選したのでその呪縛から解放される。イエスマンだけを集め私物化し、アメリカを乗っ取ろうとしたトランプとその一家は、ひょっとして数多くの罪状で逮捕されるかもしれない。

 民主党は本音の「アメリカ第一主義」は表に出さず、「自由と民主主義、世界の平和と安全…」とキレイ事を今後も並べ続けるだろう。しかし、本音がアメリカ第一である以上、世界中の格差はなかなか是正されず、数多くの紛争の種はそう簡単に消えたりはしない。