恐怖の近未来

 オバマからトランプへと大統領が代わった米国だが、はて? トランプはまだ大統領の椅子に座っているのか? 一ヶ月半ほど過ぎたが、まだ座っているようだな(笑)。私はトランプ大統領は任期の4年間は維持できないと思っているが、もしかしたら、なんとか名前だけでも大統領と呼ばれつづけるかもしれない。ただし、その為には共和党の主流派に相当妥協した上での話。

 当初のトランプ大統領のスタイルを4年間押し通すことはほとんど不可能。もしそれを貫こうとすれば共和党の主流派は黙っていないだろう。仮に、現在のトランプのやり方が4年間つづくようなら、米国だけでなく世界全体が限りなくジョージ・オーウェルの「1984年」の世界に近づくということ。

 鍵を握るのは陰の大統領と呼ばれるスティーブン・バノンの動向で、彼が自分の信念をあくまで貫こうとするならトランプ大統領とやがて対立するかもしれず、トランプ政権は内部から分裂・崩壊する。トランプ大統領の命運はスティーブン・バノンが握っている。

 それにしても、トランプ政権も日本の安倍政権も脆弱そのもの。テレビや新聞などのマスコミを懐柔させないと維持できず、事実を報道されることを極端に恐れている。正々堂々としたところが微塵もなく、軟弱そのものである。

 トランプも安倍も、そして北朝鮮金正恩も、基盤は非常に脆弱で、ロシアのプーチンも中国の習近平も本質は変わらない。だからこそ体制維持のため、彼らは監視・管理を強化、自由の制限に走り出す。トランプ、プーチン習近平、そして安倍晋三金正恩、彼らは本当によく似ている。独裁者で全体主義を目指すところはソックリだ。

 トランプが米国大統領に就任したことで、ロシアや中国との戦争が回避されたと評価する意見もネットなどに流れるが、しかし、だからと言ってトランプの人種差別や自由の制限を認めるわけにはいかない。いや、むしろ米国とロシアと中国の超大国が裏取引をして、世界を刑務所化することで暗黙の了解を得ているかもしれず、トランプがなぜプーチンと仲が良く、習近平に理解を示すのか、その理由が良く分かる。

 繰り返すが、トランプ政権がつづくなら、正にジョージ・オーウェルが描いた恐怖のディストピア小説1984年」の世界の現実化だ。小説の、オセアニア、ユーラシア、イースタシアの超大国が、そっくりそのまま、現在の米国(オセアニア)、ロシア(ユーラシア)、中国(イースタシア)とダブる。

 戦争は回避された、しかし世界全体は刑務所と化した…。この三つの超大国はいずれアフリカや南米やアジアなど第三世界からだけでなく、ヨーロッパや日本からカネも資源も収奪し尽くすだろう。日本国民の総資産1500兆円は親分の米国にほとんど合法的に略奪される。