尊敬する人

 尊敬する人は誰ですか、と尋ねられたら私は以下の人物の名を挙げる。日本人では日野原重明葛飾北斎伊能忠敬。外国人ではポルトガル人のマノエル・ド・オリヴェイラ。 

 日野原重明は医者として105歳、オリヴェイラは映画監督として106歳まで、それぞれ死ぬ直前まで現役で働いたし、葛飾北斎も90歳近くまで生きて最期まで絵を描きまくった。伊能忠敬は73歳で没したが50を過ぎてからの晩年は測量に賭け、ほぼ完全なる日本地図を作成したことはあまりに有名。 

 要は彼らは長生きして後半生にこそ大切な仕事を成し遂げたことが共通している。伊能忠敬も江戸中期の当時としては平均寿命よりははるかに長かったはず。 

 私は彼らの足下にも及ばないちっぽけな存在だし、いつまで生きられるか分からないが、しかし私は残りの人生が楽しみでならないことを正直に告白しよう。 

 前回の記事でも書いた通り、現在の私に過去を懐かしむ余裕などなく、やるべき事、やらなければならない事が多過ぎて、毎日途方にくれてるほど。途方にくれ過ぎて実際は何もしてないかもしれないが、しかし未来に希望が抱けることは幸せなことだ。 

 過去とは、様々な不祥事に対して反省し、それを将来に活かすためにこそある。そして過去から現在へと問題提起しながら、これからをより良くしたいもの。どんなに年を重ねようと、そんな姿勢で最期まで生きられたらなんと素晴らしいことか。

 自分の過去を正当化してはならないとつくづく思う。なぜなら、その時点で未来の扉は閉ざされる。上記に挙げた人たちは、どんなに年を重ねようと死ぬ直前まで未来が拓けていたに違いない。