春到来だが…

 2月も下旬、春一番も吹き、いよいよ春の足音が聞こえてきた。寒い冬は苦手だから春は待ち遠しいはずなのに、じつはそれほど嬉しいわけじゃない。暖かくなるのはいいが、黄砂や花粉など、とにかく春は埃っぽいので、ウキウキした気分にはとてもなれない。

 ところで、一年は四季ではなく六季ある。春と夏の間に初夏と梅雨という四季とは趣のまったく違う気候が挟まれる。4月下旬から6月上旬の初夏が私は一番好きだが、その後、夏までの梅雨の時期も悪くない。梅雨といっても強い雨がふるわけじゃなく、しっとりして落ち着く。

 梅雨が明け真夏になると晴れ晴れとして開放的になるが、同時に台風もやってくる。秋は日暮れが早くなり、冬はすぐ目の前だ。なんだかんだと言いながら、一年のサイクルはあまりに早く巡る。社会状況と同じく、季節の移り変わりは激しい。もっとゆっくりしたいが…。

 先日、氷点下の寒さを経験したが、しかし今冬最後の氷点下になるかもしれない。今週末も多少は冷え込む予報だが、来週、そして3月になると暖かくなる。冬は終わった。すでに春の息吹が随所に見られる。近所の河川敷には黄色のヒメリュウキンカがかなり咲き誇っている。

 今年の正月に何輪かのヒメリュウキンカが咲いてるのを見てビックリしたが、この花が群生して咲く光景は桜とコラボしてなかなか見応えがある。あと一ヶ月もすれば桜の話題で世間は賑わうだろう。今春、金沢の桜の開花は早まると思っていたのに、例年並みだそうだ。

 雪が極端に少ない暖冬の金沢なのに桜は4月に入ってからというのは、なんだかこれも不思議な気がして、気候の不均衡を感じる。どこもかしこも、ズレて、歪み、ねじれ、あちこちから軋む音が聞こえそうだ。特に政治経済の状況がデタラメで、社会は一気に奈落の底に転落する可能性もある。