季節の異常

 北陸地方も梅雨が明け、いよいよ本格的な夏の到来。しかし振り返れば、6月の下旬から暑くなり、7月に入って連日30℃以上つづいていたから、じつはとっくに本格的な夏は到来しており、梅雨は夏の季節にすっぽり包まれていたという感じがしないでもない。

 地元金沢の今年の梅雨は、雨量は平年の1.5倍あったのに対し、日照時間も平年の1.5倍あったらしい。つまり、短期間に集中的に雨は降ったわけで、梅雨なのに晴れ間も多かったのだ。この傾向は金沢だけでなく全国的なのだろう。

 かつて夏本番と言えば、7月下旬から8月上旬にかけて。8月中旬のお盆を過ぎると秋の気配がしたものだが、最近は9月に入っても秋分の日あたりまで暑くてたまらず、それほど夏の季節は長くなった。

 今後の天気予報を見ると、関東から西日本にかけて連日35℃以上の猛暑日がつづくらしく、36℃とか37℃の数字がズラリと並ぶ。これは本当にもの凄い状況で、猛暑日があたり前になり、32℃とか33℃と聞くだけで、なんだか涼しく感じるほど。

 今のところ金沢は西日本のような猛暑日の予報はないが、それでも33℃前後のいかにも夏の気温である。夜も25℃以上の熱帯夜だ。ところで室温は外よりもだいたい5℃ほど高くなるから、深夜になっても部屋の中は30℃前後を保ち、これではお年寄りなど熱中症にならない方がおかしい。

 地球温暖化は確実に進行している。いや、地球はこれから氷河期に入るという説もあるが、温暖化か氷河期かと論争するのはちょっとズレてる。少なくとも近代の産業革命以降、人類は人工的に地球を暖めてきたことは間違いなく、かりに自然は氷河期に向かっているのだとしても、人工的な温暖化と自然の氷河期とでかえって全体がアンバランスになりかねない。

 一方で人工的に暑さが増し、もう一方で冷やそうと自然の摂理が働くなら、これからの地球は暑いか寒いかのどちらか。春と秋は消滅、四季の変化はなくなり、真夏と真冬が繰り返される。二極化は社会だけでなく、自然をも支配しそうだ。