デタラメの極み

 今回の衆議院解散と12月の総選挙。過去何度も衆議院解散と選挙を経験してきた私だが、今回ほどデタラメで国民をバカにした解散による選挙は初めてだ。

 それにしても、なんのために解散したのかサッパリ分からない。衆議院では自公が2/3以上占めているし、支持率は下がり気味とはいえまだまだ高水準。そこで専門家から素人までいろいろ口にする。「自己都合」「大義なし」「追いつめられ」「延命」…。

 ただ想像を膨らませれば、なぜ安倍首相が解散に踏み切ったのかその理由がなんとなく分かる。まずは消費税で財務省と日銀の黒田総裁に裏切られたから、あるいは最終の憲法改正に向け確実に残り4年間を確保したいから、自民党内における派閥抗争で勝利しつづけたいから…。

 しかし一番説得力があると思った説は、週刊金曜日の最新(1017号)で編集委員佐高信氏が自分のコラム「新・政経外科」で述べていた「脱税疑惑隠し」。安倍氏の「相続税3億円脱税疑惑」が週刊現代でスッパ抜かれ、また社民党の吉田党首からも追求され安倍氏はうろたえ激怒した。

 億単位の脱税が明らかになれば小渕優子どころの騒ぎではなくなり、議員生命は確実に終わる。今現在、安倍晋三はそれが怖くてしょうがないのだ。だから「自己保身解散」が一番ふさわしいかもしれない。それにしても安倍晋三という男、これほど魅力に欠ける人間はいない。

 人間の魅力とは何か。気持ちに余裕がある、すなわち懐の深さこそ重要な要素だが、しかし安倍晋三は直情的で単純、批判されると怒りまくり心に余裕がまったくない。じつに器が小さい。早口で舌足らずなのか子供っぽい喋り方で、指導者に最も向かないタイプ。安倍晋三のような人物を総理大臣に置く日本国民は不幸の極みだ。

 アベノミクスは完全に失敗。アベノミクスがこれ以上進んだら日本は確実に沈没するだろう。庶民は気づきはじめた。選挙の結果はどうなるか分からないが、無党派層がカギを握っているのは間違いなく、ちょっとしたことで状況はガラリと変わる可能性を秘めている。