総選挙の結果から

 大多数の人々が予想もしていなかった、降って湧いたような今回の衆議院総選挙。 じつは「アベノミクスは失敗でした」と安倍首相自ら認めたような解散総選挙だったにもかかわらず、結果として自公で2/3以上を確保した。

 大手マスコミは「与党圧勝」と煽るが、冷静に見るならこれは現状を維持したに過ぎず、結局700億の税金を無駄使いしただけではなかったか。

 選挙結果から良心的な多くの識者は(有名無名を問わず)、嘆き、落胆し、これからの日本社会を想像して半ば諦めの心情を吐露しているが、絶望するほどのことはない。少なくとも野党で維新や次世代が減り、共産が伸びたことはいいことだ。

 今回の総選挙、そもそもなんのために衆院を解散したのか分からない人が圧倒的に多かった。そして分からないからこそ関心が薄れ、冬の悪天候とも重なり投票率は52.66%で戦後最低となる。この戦後最低の投票率こそ大いに嘆きたい。

 投票率が50%程度とはまったく情けなく、これでは与党が信任されたとはとても言えないだろう。創価学会の組織票に頼るしかない公明党が躍進したかのように見えるのはマヤカシで、公明党なんて投票率が下がるとほぼ全員当選、しかし投票率がちょっと上昇すれば大苦戦だなんて、どうかしてる。

 選挙の度ごと共産党の動向は気になっていた(私は共産党とは何ら関係のない人間だが)。組織票にしか頼れない公明党のようにはくれぐれもなってほしくはないと思っていたところ、今回共産党無党派層にもかなり支持率を高め3倍近く躍進した。これは注目に値する。共産党は組織票に頼るだけでなく、大勢の無党派層の心を掴む柔軟な発想でこれからも臨んでほしい。

 与党が現有勢力を維持しただけ、閣僚も選挙後はそっくり横滑りするという、ほとんど意味のない衆院選。とはいえ野党の勢力図は変化し、与党内でも公明の力が増したことから、安倍首相の内心は表向きとは裏腹に、相当困惑し、かなり焦っているかもしれない。

 アベノミクスはとっくに失敗している。多くの庶民はマインドコントロールされていたのが、来年以降、アベノミクスの失敗が顕著となることで、政局はかなり混乱する可能性を秘めている。