自主独立のあり方

 これからは世界のいろんな地域で独立運動が盛んになるだろうが、その手段と目的が問われることになる。

 先のスコットランド独立運動は世界中の話題になったが、その中身を検討することは非常に重要だ。住民投票で賛否を決めるやり方は民主主義の手本になったし、イングランドとの地域格差が浮き彫りにされ、格差是正への道筋を開くことにもなった。

 同じヨーロッパでも、イタリア北部同盟独立運動スコットランドとは違うようだ。工業が盛んで経済的に豊かな北部、対して農業が中心の経済的には貧しい南部。イタリア国内における両地域の対立がどれほど根深いのか詳しく知らないが、稼いだ資金で南部を支えなければならない現状に北部は大いに不満とのこと。豊かな北部にとって貧しい南部は足枷らしい。

 つまり、イタリア北部同盟の独立願望はスコットランドとはまったく逆で、北部同盟の独立はイタリア国内を豊かな地域と貧しい地域とに分断することになり、格差是正どころか格差拡大へとなりかねない。

 世界中で紛争やテロが後を絶たないが、それは格差・差別の蔓延が原因であることは言うまでもなく、格差・差別の解消は世界が背負うもっとも重い課題である。

 大きな国が小さく分散・分裂しようと、それぞれの地域が個性をさらに発揮できてお互い自由と平等への道に繋がるなら歓迎すべきだが、しかし資金も資源も豊かな特定の地域が大多数の貧しい地域を支配する構図になるなら悪夢だろう。

 独立には方向性や民主主義の手続きなど、中身をしっかり精査しつつ応援や批判をしたい。紛争の火種になり人々が犠牲になるような独立は最悪。「独立」という言葉だけで踊らされるわけにはいかないけれど、ともかく独立運動の機運は高まりこそすれ沈静化することはなさそうだ。