今世紀末には

 スコットランド独立の是非を問う住民投票が実施され、賛成が約160万票、反対が約200万票、およそ45%対55%で独立は否決された。10%の差が大きいか小さいか、いろいろ意見はあるだろうが、それにしても世界中が注目したスコットランドだった。

 投票前には賛成支持が過半数を上回る一時期もあり、結果は別としてスコットランドの独立機運は大いに盛り上がり、世界情勢に大きな影響を与えたことは間違いない。負けたとはいえ、独立を賛成した住民が45%もいた事実はとても重いと判断する。

 ヨーロッパだけに限っても、スペインのカタルーニャバスク地方、言語対立のベルギー、経済を背景にしたイタリア北部同盟…などなど、独立機運が高まっている。中国のチベット自治区新疆ウイグル自治区、日本の沖縄、カナダのケベック州も有名だ。つまり世界中のいたるところで独立運動の火種はくすぶっている。

 これまで一つの名称でまとめられていた広い領域がさまざまな事情から分裂し、似た者同士で小さくまとまりたがる気持ちは分からなくはない。今後しばらく、こうした流れは盛んになっても下火になることはないだろう。

 是非はともかく、独立運動が益々盛んになることで、米国やロシアや中国などの大国も次第に分散・分裂して縮小することが予想される。将来、日本も北海道、四国、九州が独立、本州も東と西に分かれるかもしれない。今現在、地球上には200ほどの国が存在するが、今世紀末頃には大幅に増加、400〜500ほどにも膨れ上がっているかも。

 国の増加はまるで世界がバラバラになるかのようだが、じつは逆で、これは世界がひとつになるための歴史の過程なのだと捉えたい。

 以前、「多文化主義」に関する本を読んだ。世界には多様な文化が存在・成立するが、だからこそ各々の文化を尊重しながら共存・共栄できる「多文化・主義」を目指すべきで、互いの文化が対立反目し合う「多・文化主義」になってはならないことを主張する内容だった。

 異なる文化を認め合いながら時代の変化を恐れず、互いが融合しつつ新たな文化を産み出し育んでゆく。各地域の独立運動が「世界がひとつ」になるための手段なら歓迎したい。