歴史の必然

 EUからの離脱を決定した国民投票からまだ一週間ほどなのに、イギリス本国ではてんやわんやの状況に陥っている。離脱に投票した多くの人々が後悔しているらしく、また離脱を推進した極右イギリス独立党のファラージ党首がウソをついていたことも判明。

 残留派が圧倒的に多かったスコットランドではイギリスからの独立運動は再燃するし、離脱派が多かったウエールズだが、なんと地元の民族党ウッド党首は残留希望を表明、ウェールズも独立を目指すという。今後しばらく、イギリス全体は相当混乱することが予想される。

 表向き、ドイツやフランスやイタリアのヨーロッパ主要国は、イギリスのEU離脱を残念がり、なんとかEUの結束を固めようとポーズを見せるが、本音ではイギリスがこれを契機に没落することを望んでいるかもしれない。ヨーロッパの長い歴史上、イギリスがどんなに威張っていたかは皆が知っている。

 イギリスが衰退することは間違いなく、時間の問題だ。やがてアメリカ合州国が、ヨーロッパ全体が、そして日本も衰退してゆくだろう。そして、アフリカ、中近東、東南アジア、中南米の各諸国が台頭してくる。

 こうして歴史は転換してゆくのだが、しかし20世紀までのように血で血を争うような事態になって欲しくない。多少のイザコザは生じても、人々や各地域が平和裡にバランスを保ちながら、社会全体が変化を受け入れることを願わずにはいられない。