恋愛とは何か(あたりまえのこと)

 「恋愛とは何か?」の答えを簡単に言葉にすることなどできない。とはいえ恋愛には、人間同士であるがゆえ非常に重要な要素はある。片想いは恋愛の出発点だが、しかし誰もが片想いで終りたくないし、できれば一心同体になるまで発展させたいと願うだろう。片想いから相思相愛の関係を築き上げ、さらにそれを持続させるにはどうしたらいいのか。

 片想いと失敗ばかりを繰り返してきた経験の浅い私がエラそうなことなど言えないが、それでも恋愛にとって特に大切なのは「対等な人間関係」とあえて言わせてもらう。

 人間関係には、親子や子弟、先生と生徒、上司と部下…等々いろいろある。現状では対等な関係をこれらに求めることはなかなか難しいかもしれない。しかし恋愛は別だ。恋愛には、年齢、出身、学歴、職業、人種、宗教など一切関係ない。もし、それらにこだわるとしたら、もうその時点で恋愛する資格はない。

 「これまでオレは何十人もの女をモノにしてきた」と豪語したがる男性をときどき見かけるが、こんな男性の人生などまったく自慢にならず、むしろ世間に恥を晒しているようなものだ。こういう男性は女性を自分に従わせてきただけ。とても恋愛関係とは呼べず、単なる主従関係を男女間に蔓延させたに過ぎない。

 ストーカー事件がときどき世間を賑わせる。感情が一方的で自分を制御できなくなり、付き纏いから挙げ句のはては刃傷沙汰になるのがストーカー事件。だがこれも、恋愛とはまったく異質の、相手を力ずくで従わせようとする自分勝手な振る舞いに過ぎない。

 カネや社会的地位を利用したり、ストーカーになったり、それらは恋愛とはまったく関係ないことが分かる。それは自分本位で対等な人間関係を築こうとしないからである。結婚しても夫婦間に対等な人間関係が築けないなら、そんな結婚は不幸極まりない。

 恋愛にとって最大の壁は差別や格差だ。人間の歴史において、大勢の人々が自由恋愛を意識し始めたのはつい最近のこと、20世紀も後半に入ってからではないか。不公平を是正しなければ…じつは、本当の意味でようやく恋愛の時代が始まろうとしている。

 なぜ恋愛が切ないのか。立ちはだかる壁を前にして、それを乗り越えるため戦うつもりがなくても嫌でも現実と戦わざるを得ず、相手を思いやる犠牲的精神が常に伴うからである…。