夏を振り返ると

 長雨のせいで、秋も深まりもうすぐ冬を迎えるかのような気配。もちろん、また暑さはぶりかえすだろうが、それにしてもなんだかイヤな空模様である。

 気象庁が「今夏は異常気象」という発表をしたが、たしかに猛暑と大雨という両極端が日本列島を覆い、気温と雨量で「観測史上最高(最大)」を連日のように目や耳にした。

 そして9月に入ったとたん、竜巻が気象ニュースの話題をさらう始末。

 私の生活圏でも、この夏はふだんとは違うなと感じることがいくつもあって、まず蚊に刺されることがほとんどなかったこと。さらに、ハエを見なかった。本当に、ハエは一匹も見ることはなく、こんな夏は初めてだ。

 セミの鳴き声もなんとなく弱々しく感じたのは気のせいだろうか。家の中にゴキブリは出没したが、例年より少なかったことは確か、ゴキブリホイホイを仕掛けても入らない日がつづいた。

 昆虫などの生き物は変化を敏感に察知するというから、「ひょっとして放射能が蔓延してるのでは…」と心配になってくる。

 その放射能福島第一原発の汚染水漏れは深刻だ。東電や政府の取り組みは場当たり的で、まったく信用できない。安倍晋三首相が急に「汚染水は喫緊の問題、国が前面に立って対策する」とかなんとか述べていたが、これが東京オリンピック招致に向けたパフォーマンスに過ぎないことはミエミエ。

 事故で破壊された原子炉はメルトダウンどころかメルトスルーして、大地や地下水を、そして海水を汚染しつづける。緊急の応急措置でさえ、どんなに早く作業に取り組んでも2020年頃までかかるという。2020年といえばオリンピックの年。福島第一原発から250キロメートルしか離れていない東京でオリンピックを開催する余裕などないはず。

 …まったく、変な夏だった。