WBCは廃止せよ

 野球の第三回WBC(ワールド ベースボール クラッシック)が来年3月に実施される。参加を決めた日本だが、チームを編成するにあたり代表選手の選考がかなり難航しそうだ。つい先日もレンジャーズのダルビッシュ有投手が不参加を表明したし、マリナーズの川崎内野手も早くから断りを入れている。前向きな姿勢だったマリナーズの岩隈投手も悩んだ末に辞退。ヤンキースイチロー外野手と黒田投手は契約がこじれそうでハッキリしない。このままでは投手から野手まで、ひょっとしてパリーグセリーグの主力だけで組まざるを得ないかも…。

 さて、過去二回の大会、日本がたまたま連続優勝したこともあり国内では野球ファンをはじめWBCへの関心はそれなりに高いようだが、しかし冷静に考えれば考えるほど、こんな大会果たして必要なのかと疑問だ。

 サッカーワールドカップの盛り上がりやオリンピックの隆盛を見て、マイナーな野球というスポーツを何とか世界的にしようと関係者は画策する。がしかし、米国のMLB選手会が主催にもかかわらず、肝心の彼らがWBCに対して本気に取り組む姿勢を示さないのだ。

 米国の野球関係者は試合よりも自分たちの利益のみにWBCを利用しようと企んでいるかに見える。日本のプロ野球選手会が第三回大会に早い段階で拒否姿勢を示したのも、大会広告料の取り分が米国に一方的であまりに不公平だったからだ。その後、なんとか理由付けして日本プロ野球選手会は参加を決定したが、実際は参加したくないのが本音だろう。日本の選手会以上に米国の大物選手たちが積極的でないことが致命的である。

 過去二大会を思い返すと、16カ国で形成したものの実際は日本と韓国とキューバの3国だけで対戦を繰り返していた印象しかない。とても世界大会とは呼べる代物ではなかった。盛り上がったのは日本と韓国だけではなかったろうか。

 現在、野球というスポーツにおける一番の問題は、米国の大リーグ機構がトップに君臨し、日本を含むその他大勢が下位に属する歪んだシステムにある。米国内のチャンピオンを決めるシリーズが「ワールドシリーズ」と呼ばれることがその証明で、WBCが野球界における最高の大会にするためには、少なくともワールドシリーズの名称を改め「アメリカシリーズ」と変更すべきである。

 WBCが大した催しでないことは、「来シーズンに集中したいので休養が必要、だから辞退したい」というダルビッシュの言い訳にものの見事に集約されている。主催する米国の為に金(カネ)を貢がせるようなWBCなど、開催時期も悪いし日本も韓国もキューバも不参加を今からでも遅くはないから表明すべきだ。

 野球という変わったスポーツはなにも世界的な位置を占める必要はない。米国と日本、極東アジア中南米だけでワイワイやればいいと思う。それで十分ではないか。