いざという時のために

 元日の能登半島地震発生から丸一週間過ぎたが、全然落ち着かない。当然だろう、いつまた大きな揺れが襲ってくるか、不安で物事になかなか集中できない。それでも、いざという時のため、少しずつ家の中を見直し改善している。

 震度7というこれまで日本で発生した中でも最大級だった今回の能登半島地震。日毎犠牲者が増え続け、本当に心が痛む。もう当分ないだろう、と思いたいけど…残念ながらそうはならない、また近い内に必ず起きる。能登では毎年のように大きな地震が発生しており、そして私が住む金沢も安全でないことが今回まざまざと証明された。

 これまで日本で起きた大きな災害を見る度、防災の準備をしようとしたが、いつも中途半端だった。やはり他人事、自分は大丈夫との自惚があったからだ。しかし、今回の地震で本気で防災に取り組む。命を最優先せねばならないということをつくづく感じた。

 平常時を基本に毎日の生活を組み立てるのではなく、いざとなった時を常に基礎にして生活形態を整えること。短時間で必要最低限の物をかき集められ、すぐに脱出できるようにすること。その為に、迅速に行動できるよう生活動線をできるだけ短くする。そして、必要最低限以外の物には執着せす、いつでも捨てられる気持ちで毎日を生きること。

 近所では平家の新築を度々目にするようになった。モダンで、スッキリして、こんな家に住める人が羨ましい。とても安定感がありそうで、安心して生活できるんじゃないか。今回のような大地震にも十分耐えられそうだし、さらに量は年々少なくなってきたとはいえ、何年かに一度はドカ雪が降る北陸地方、おそらくビクともせず、雪下ろしも楽だろう。

 残念ながら、私の家はリフォームされているとはいえ、築60年の木造二階建て。雪も心配だが、地震の大きな揺れにどこまで耐えられるか。だが、家なんかにこだわってる場合じゃない。身の安全を図るため、すぐ逃げられるように、繰り返すが生活動線を見直す。

 昨年までの家の中の整理整頓とは、ただ不用な物を処分し、必要なものを購入しただけだった。整理整頓の本質はそんなものでは全くない。まず、暮らしやすい住居の基本とは、見かけの豪華さや、趣味の道具の陳列にあるのではなく、あくまで危機に直面したとき身の安全が保たれるかどうか。家具の配置、食器類や小物の収納等、もう一度徹底的に見直す。

 生きるに最低限のものを即座に集められること(集めておくこと)。上から物が落ちてこない寝る場所の確保が重要。家の中の脆弱な箇所と頑丈な箇所を確認。とにかく、隅々を点検し、家全体を把握する。じつは物が少なく安全な家屋は見た目も美しいのだ。