恐るべき闇深い世界

 今年の10大ニュースの上位争いをするであろう、今や超話題のジャニーズ事務所の性加害問題。芸能界に疎いし、元々ジャニーズ系タレントなんて全然興味なかった私だが、しかし内情を知れば知るほど少年たちへの人権侵害の実態は酷い。

 性被害で被害者救済委員会には現時点で478人も連絡があり、その内325人が補償を求めているらしい。おそらく過去を洗いざらい検証すれば実数はもっと増えるだろう。裏の裏の詳しい事まで知る由もないので、軽々と口にすることのできない私でも、ネットや新聞等で入ってくる情報を見聞するだけで絶望的になる。

 建て直すきっかけとするはずだった10月2日の会見だが、ジャニーズ事務所のヤラセ会見はあまりに浅はか。NG記者リストの作成など、さらに墓穴を深く大きくしてしまった。自分たちに都合の良いルールを勝手に作り、それに従わないとルール違反だと決めつけるとは、バカにするのもいい加減にしろ。

 「子供たちが…」で懇願した井ノ原の言葉に連動し拍手したジャニーズ担当で飯を食わせてもらった芸能記者たちは、なんとかジャニーズを弁護しようと懸命のようだ。そこにはジャーナリズムの核心ともいうべき事実確認を無視、ただただ人間関係の恩に報いるため忖度へと走る光景が映る。 政治記者も似たような人たちが多く、権力に阿り、いい子ぶって目立ちがるだけ。恥を知らないのだろうか。

 人権侵害の実態はジャニーズ事務所だけじゃなく、芸能界全般に及んでいるのは間違いない。恐るべき闇深い世界。俳優、歌手、タレントたちが、映画やテレビ等への出演のため、芸能事務所と制作会社の間でこれまで一体どんな取り引きに巻き込まれてきたか。「枕営業」という言葉など既に一般化してるが、特に若い女性に焦点を当て、20世紀全般、さらに今世紀の今日まで徹底的に検証したらいい。

 ジャニーズ問題は益々闇奥く、まるで底なし沼だ。知れば知るほどデタラメな日本社会(もちろん日本だけではないが)の縮図を見るかのよう。実際、救いようがないほど深刻なのは何といっても政界だが、そこを頂点に経済界や労働界、宗教界、スポーツ界…それらの領域にも腐敗が蔓延している。

 何か深刻な問題が生じても、大概は形式的な謝罪会見をして事を済ませようと図り、しかも表に出て頭を下げるのは周辺の関係者のみ。本丸に居座る一番悪どい輩は裏に隠れて逃亡を企て、どうせ時間が経てばみんな忘れるだろうと高を括っている。