東京スカイツリーはできたけど

 東京スカイツリーが完成。開業当日の大騒ぎから2週間近く経過、周囲の環境に早くも変化が出てきたという。スカイツリースカイツリータウンは当初の見込み通りの盛況だが、大勢の見物客を当てにしていた周辺の押上地区の商店街など客足は逆に遠のいているらしい。こんな短期間で結論は出せないが、それにしても明暗がハッキリしそうだ。

 おそらく予想はされていたに違いない。開業直前までマスコミは地域活性化起爆剤としてスカイツリーを持ち上げ、下町商店街の何もかもが明るく元気になるかのような幻想を振り撒いていた。だがしかし、現実はそう甘くはない。弱肉強食の資本主義、一方が活性化すれば、片方は必ず衰退する。

 これまで何度も批判にさらされてきた日本の箱物行政。その集大成のような趣が東京スカイツリーにはある。スカイツリーとその周辺は、大型スーパーマーケットが誕生したことで小さな店が軒を並べる商店街がシャッター通りになった構図に似ている。

 スーパーマーケットやショッピングモールだけじゃなく、典型的なのは全国に100近くもある飛行場。そのほとんどが赤字経営。年間何十万人もが飛行機を利用するだろうと根拠のないデタラメな算段。期待を寄せて建設を認可したが、いざ完成して開港してみると飛行機が全然飛んで来ない現実を知らされる。多額の借金を後代に押し付けながら、その地域は加速度的に衰退してゆく。

 新幹線も同じだ。北陸新幹線が開業すれば中央の東京は益々肥大化、逆ストローで地方の金沢はゴーストタウンになるかもしれない。スカイツリー、スーパーマーケット、飛行場、新幹線……そして原発。名称は違うだけで構図はソックリ同じだ。行政やマスコミから幻想をさんざん振り撒かされた挙句、結果は繁栄どころか衰退するのみ。何度も同じ失敗を繰り返す。

 さて、スカイツリーは完成したが、墨田区の各商店街では客足が遠のくだけでなく、多くの自転車が放置されたり、散乱するゴミの量が増えたり、それらを処理する余計な作業も増え、店の売上減だけを心配するどころではないらしい。