油断も隙もありゃしない

 12月に入り、しかも半ばを迎えようとする北陸金沢の天候は、小雪が舞い、アラレが降り、空はどんよりした灰色で、外は寒いから家の中で人々はストーブやコタツで暖を取ってるはず…

 だが、今年は全然違い、朝から快晴、気温は20℃まで上昇、異常な気候変動の実態をまざまざと体験している。信じられない陽気、本当に12月も半ばなのか。

 思うに人生とは信じられないことの連続。地震や豪雨や酷暑などの自然災害の遭遇や、原発大事故や感染症の蔓延による悪夢。そしてテクノロジーの発達による日常生活の激変。ついこの間まで財布から現金を出していたのに、高齢者の私ですら今や買い物はスマホで決済してる。

 今やすっかりIT機器類に取り囲まれて生活する私である。昨日もいつものようにパソコンを開き、いつものようにサイトを検索していた。そしてニュースの小さな項目をクリックしたところ、突然画面の中央が真っ赤に切り替わり、「あなたのパソコンはトロイの木馬に感染した」との警告が大音量と共に出てきた。

 マズイ、やられた、と一瞬呆然。どうしたものかと途方に暮れる。警告は女性の声で「すぐに指定された電話に連絡を」、さらに「決して再起動しないように、それをすると情報が盗まれる」と繰り返し告げている。

 だが、ここでちょっと冷静になり、この「トロイの木馬に感染」の警告は本物なのか、偽物で詐欺じゃないかと疑ってみる。何度か再起動を繰り返すうち、この警告は画面から消えた。調べてみると、他人の情報を盗むための詐欺だとほぼ確定できた。

 もし警告の指示通り再起動せず指定された番号に電話していたら、まんまと騙されていた可能性はあり、本当に危ないところだった。全く油断も隙もありゃしない。ネットの詐欺は実に巧妙である。

 「すぐに電話を~」のメッセージには決して電話せず、「再起動しないように~」のアドバイスには再起動、またはシステム終了したのち立ち上げること。何度か繰り返すうち大抵は正常に復活する。