資本主義下の矛盾

 かつて会社勤めをしていた頃、私がもっとも嫌なことの一つが「早くやれ」という上司からの指示。たとえそれを直接言われなくても、与えられた仕事達成のため「早く、早く」という周囲が醸しだす雰囲気だった。

 物事を早く進めたければ話し合いなどせず、反民主的にトップが独裁者となり勝手に決定するのが一番、それでうまくいくかどうかは別としてだが。

 日本に限らず、経済界ではトップには独裁的な人物が多いようで、サービス業であれ製造業であれ、競争で勝つことを理由に、とにかくスピードを求める。その結果、底辺の労働者は疲弊し自由がどんどん奪われる。

 日本だけではない。資本主義下で政治経済はスピードを求められ、早急に改革・改善(改悪)を求めようとするが、しかし、本来民主主義は時間がかかるもの、スピードを求めてはいけないのであり、だから世界の現状は矛盾の渦に巻き込まれ、この矛盾を解決しない限り世界中が益々危機に瀕することになる。

 経済動向に右往左往する政治ではたとえ民主主義を標榜しようと、それは口先だけ、何ら効果はなく看板だけの民主主義。世界は権威主義と民主主義がさも対立してるかのようだが、何のことはない、どちらも独裁が蔓延り牛耳ってるだけ。資本主義の下で民主的に装うことはできても本当の民主主義は育たない。

 さて、岸田文雄が首相に就任した当時、殺された安倍晋三元首相や菅義偉前首相より、少しはマシにかなとの思いを抱かせてくれたが、どうやら完全に間違っていた。国会を通さず何事も閣議決定で独走する岸田文雄は戦後最悪な首相になりそうだ。

 おそらく岸田内閣は長続きしない。今年中に交代するのはほぼ確実だろう。では岸田の後釜に期待できるかというと、まったくできず、おそらく岸田よりさらに悪くなる可能性が高い。自公政権が続く限り、日本は奈落の底に落ち続ける。自公政権は競争を煽り、より一層権威主義化してゆくからだ。