米国とロシア

 米国のトランプ政権はまだ100日未満。にもかかわらず政権内部はかなり混乱が生じてるようで、その証拠に影の大統領と呼ばれる側近中の側近スティーブン・バノンが「国家安全保障会議NSC)の常任メンバーから外され、早くも彼の存在価値が危うくなってきた。

 トランプ大統領が政権を維持したければ共和党主流派と妥協するしかなく、反主流派でレーニン主義者のバノンは邪魔な存在になってくる。政権支持率が40%に満たない現状では支持率を上げるため、人事だけでなく、内外に様々な手を打って来るだろう。

 一番手っ取り早い方法は他国で「正義のための戦争」を勃発させ、国内に蔓延する不満状況を一気に外部へ向けさせること。これは独裁的政治の常套手段だ。

 今現在、シリアの情勢が非常に危うい。米国とロシアでISを駆逐するはずが、アサド政権側が化学兵器を使用したという理由で、米国の方針が急転換、シリアの空軍基地を狙い巡行ミサイル59発を発射した。またか、という思いだが、これなどトランプがマケイン上院議員に代表される共和党主流派に妥協した証だ。

 米国とロシアの関係がにわかに緊張。果たして代理戦争になるのか。現在のシリア情勢から見て、化学兵器の使用は本当にアサド政権が関与したのか断定できず、トランプとロシアの緊密な関係に懸念を示す米国共和党主流派の自作自演かも。裏の裏を勘ぐるとキリがない。

 さて、ロシアは米国のトランプ大統領にどう対応するだろうか。おそらくロシアはトランプの弱みを握っているから、そのカードをいつ開けるかタイミングを図っているに違いない。