読書のすすめ

 図書館の存在は本当にいい。図書館に所蔵されてる書籍は何十万冊もあり、それらが全部私のものだと思うと嬉しくてしょうがない。もちろん私だけのものではなく、皆のものでもある。ともかく、自由に貸し出しできる図書館は素晴らしいの一言。

 ところで統計によると、ひと月に本を一冊も読まない人が、なんと全体の半数近くもいるというから驚く。一日に一冊読破できる人なんて稀だろうが、週平均二冊読む私のような人間も少数派なのだろう。

 人が100年生きたとして、かりに一日一冊ずつ本を読んでも、たった36500冊。一般の図書館には数十万冊の書籍を抱えている。一生かけて読める本の数はどんなに多く見積もっても、一つの図書館が所蔵する一割程度しか読めないということ。

 映画もしかり。たとえ映画好きでも、万を超える作品を鑑賞できる人は稀だろう。音楽作品は時間にして短かく遥かにたくさん観賞できるが、しかしそれでも500万曲以上聴くのは到底不可能(AppleAmazonは6000万曲以上を配信)。

 以上の現実を知るにつけ、なんだか寂しくなる。なんと人生はちっぽけなのか。人生はあまりに短か過ぎる。数をこなせばいいというわけではないが…。問題は作品を通して世界の深淵(真理、事実)をどこまで知ることができ、さらにそれを自分の人生にどこまで役立てられるか。

 高齢者に関する本を読んでると、定年後に何をしていいか分からず、ボーとしてテレビを見たりお茶を飲んだりするばかり。時間を持て余し、一日がとても長く感じてしょうがない、そんな高齢者が嘆く姿の記述を目にするが、私には信じられない。

 私には一日が瞬く間に過ぎてゆく。やりたい事がたくさんあるのに全然消化できず、何をしていいのか分からないどころか、分かってるのにそれが出来ない自分の能力の無さに嘆き、明日こそと自らを慰めてばかりの毎日である。

 年を重ねれば身体を動かすことに億劫になるのは仕方ないが、であればこそ気軽に携われる読書は認知症予防にもなるし最適ではないだろうか。