「日本会議」が抱く妄想

 安倍晋三首相とその取り巻きである「日本会議」の真の目的は何か。単刀直入に言えば、中国と再び戦争して今度は完全勝利することだ。「戦争」なんて物騒極まりないが、彼らは本気でそう思っているのではなかろうか。

 大東亜戦争で日本は実質的に中国に負けていないと彼らは信じている。しかし太平洋戦争で米国に敗北したことは認めるしかなく、その結果、中国にまで戦争で敗北したとされる歴史に彼らは我慢できない。

 だが、新たな日中戦争は違う。太平洋戦争終結後、敵対していた日本と米国は強固な同盟を結び、両国は味方同士となった。その関係は近年益々緊密になったと彼らは思い込み、そんな仲の良い日米が協力して「生意気な中国」を今度こそやっつけたい。だからこそ日本会議を始めとするネトウヨは日米同盟にこだわり、米国の子分に甘んじる。

 「中国と戦争して勝利」その為の集団的自衛権共謀罪…そして憲法改変であり、それが分かれば何もかもが透けて見える。日本が威張っていた明治の天皇制絶対主義に憧れ、教育勅語を持ち上げ、一方で戦後の民主主義を徹底批判。戦後レジームの脱却と口にしながら、日米同盟という戦後レジームにこだわりつづけるが、この一見矛盾する姿勢も、彼らには一本の筋として迷いはない。

 もちろん、もし日中戦争が勃発すれば互いに多大な被害を被ることは十分理解しているだろう。それでもとにかく中国には負けたくないとの執着が強く、経済分野でたとえ米国とすれ違いが生じようと、軍事面だけは米国と一心同体でいたいのだ。

 「日本会議」がもっとも恐れるのは米中が日米以上に接近することだが、実態はすでに日米以上に米中は経済を中心に人や物の両面で相互依存が浸透。日本会議が抱く妄想が日本をガラパゴス化させ、日本は益々世界から取り残される。