テレビ番組の話

 テレビ朝日系で月〜金の夜9:54分から始まる「報道ステーション」。3月27日(金)の放送時間中に古舘伊知郎キャスターとコメンテーターの古賀茂明氏がバトルを繰り広げたことがネットを中心に話題になっている。

 夜8時以降テレビをまったく見ない私は知らなかったが、情報をいろいろ見聞する限り、「I am not ABE」を掲げる古賀氏を番組から降板させるため製作スタッフが官邸から圧力を受けたと古賀自身が明かし、古舘キャスターは防戦一方だったようだ。後日、菅義偉官房長官は官邸からの圧力を否定したが、権力側の言い分など信じられない。

 もし、番組だけを見て背景を想像しなければ古舘キャスターは権力の圧力に屈した単なる裏切り者に見えただろう。だが報道ステーションは数あるニュース番組の中でもかなりまともらしいから、この一件で番組と古舘キャスターを一方的に断罪するのは酷というもの。徹底的に批判されるべきは、これまで報道機関に散々圧力をかけ、現にかけつづけている安倍政権だ。

 ところで、3月30日(月)からNHK朝の連続テレビ小説「まれ」が始まったが、地元が舞台のせいもあり興味が湧いたので見た。率直な感想を言えば、初回だけとはいえ意外と面白く、何よりつくり方が上手いと思った。

 わずか15分の間に能登を舞台にした主な登場人物を一気に登場させ、ナレーション以外の説明的描写は極力回避、テンポ良く場面を転換させる。なにより能登の風景が美しく俯瞰シーンが素晴らしい。これは長期間ドラマとして視聴者に関心を抱かせ引き寄せるためスタートの定石なのだろう。だが、実際創作するとなるとなかなか上手くいかず、下手な演出なら、15分の中身が、45分にも60分にも間延びしてしまう。

 果たして「まれ」がどんな展開になるのか分からないが、能登の自然や風俗を今後も十分に活用してほしい。くれぐれも狭く窮屈な家庭劇に陥らないことを願う。

 テレビはほとんど見ないので確信できないが、最近のテレビドラマは映画的手法を積極的に取り入れているのではないだろうか。これまでのテレビドラマは小さな画面を意識し、映るのは人間の顔のアップかせいぜい上半身だけで細かくカット割りしてきた。40型、50型、60型が普及した大画面テレビは映画に近づいてきたのだろう、手法が変わらざるを得ないのは当然かもしれない。