NHK受信料の疑問

 社会には不公平で不条理なことは多いが、身近ではNHK受信料ほどそれに当てはまるものはなく、私にとってこれほど摩訶不思議な制度はない。NHK受信料の問題は昔から多くの識者が指摘してきたが、やはりおかしなことはおかしい、と私も訴えたい。

 それというのも、つい最近、NHKから調査員が我が家を突然訪れ、地上波の受信料は支払われているが、BS放送分が未納なので払ってほしい、というのである。その根拠は私の部屋のベランダからBSアンテナが見えたらしく、調査員は我が家もてっきりBS放送を視聴しているに違いないと思ったらしいのだ。

 これまで私は、BSの映画専門チャンネルはときどき視聴するのでその為に毎月お金は払ってきた。しかしNHKBS放送は見たことがなく、見たことも無いチャンネルのために、なぜお金を払わなければならないのか、と調査員からの要求を断ったわけである。

 繰り返すが「見てもいないのに、なぜ料金を払わなければならないのか」がNHK受信料の根本問題である。見ているなら時間換算して私は料金を払ってもいいと思うが、それができなければ映画専門チャンネルのように、NHKBSも契約者には電波を流し、契約していない者には電波を流さなければそれで済むはずではないか。

 地上デジタル放送もNHKは一方的に電波を流し、ほとんど見てもいない人々からテレビを所有しているというだけで受信料を徴収しようとする。NHKの地上波こそ時間換算して料金を支払う制度に変更すべきだ。私も母親も地上波すらほとんど見ないので本当のところ受信料は払いたくないのだが、まったく見ないわけではなく、天気予報や災害情報はやはり重要であり、だから母親が昔から払いつづけてきたわけである。

 それにしてもおかしい。放送法によれば個人は世帯ごとに徴収することになっている。すなわち、東京は田園調布の豪邸に暮らす大家族の5台も大型テレビを所有する世帯も、四畳半に一人で暮らす小さなテレビ一台所有する世帯も、NHK受信料はまったく同じなのである。また、パソコンやタブレットスマホ、さらにケーブルでもテレビ番組を見ることが出来る今日、NHKはどのように対処するつもりなのか。

 NHK受信料制度はおかしなことばかりだが、しかし一番の大問題は、NHKの実態は公共放送ではなく国営放送であり、体制権力に都合のいい報道ばかりすることにある。

 近所に大きな屋敷が聳えて壁が電波を遮るため、我が家のBS電波受信はあまり芳しくない。BSアンテナそのものを撤去して、じつは映画専門チャンネルの契約も中止しようかと私は思っている。