国境ってなんだ?

 国と国を分け隔てる境界線とは何? いったい誰が境界線を引いたの? 少なくとも、日々生活に追われ、食べることに汲々とする多くの一般庶民ではないだろう。資源や領土を奪うことを画策し、権力を誇示し、大衆を支配したがる為政者たちが勝手にそれを引いたのだ。

 冷静に考えれば、国境ほどデタラメでいい加減なものはない。20世紀を振り返るだけで世界地図は大きく変わった。現在の世界地図も、21世紀を経て、22世紀を迎える頃にはさらに変貌しているだろう。歴史の変遷とともに、世界地図は常に様変わりする。

 ところが、こんなに移り変わりが激しく流動的で、決して固定することのない国境を絶対視しつつ、その国境に囲まれた国家というものに固執したがるのはなぜ? 答えは簡単、権力を維持したいからである。

 為政者は己の権力を維持したいが故に国家にこだわる。いや、正確には己の権力を維持したいが故、国家すなわち国境線を民衆に意識させたがる。国境を意識させること、すなわち自国と他国の対立概念こそ、権力者が一般大衆を支配するに好都合であり、それをひとり一人の内面に巣食う権力志向と合致させ、それでより強固に体制維持を図ろうとする。

 国境がデタラメでいい加減ということは、国家そのものがデタラメでいい加減ということ。こんなフザケタもののために大勢の人間の命が脅かされるなんて、トンデモナイ。

 米国もロシアも中国も朝鮮も…そして日本も、当然のごとく私は時の権力者に疑いを強く抱く。しかし、だからといってそれらの国々で生活を営む私たちと同類の民衆に対しては、共同・共有・共感で繋がっていたい。

 批判されるべきは国ではなく権力(権力志向)なのだ。本当の対立概念は国と国ではなく、為政者(強者)と大衆(弱者)なのだ。国境に縛られるなんてまっぴらゴメン。日本人をさっさと卒業し、地球人として人間社会に溶け込み、私は生きてゆきたい。