北國新聞と北陸中日新聞

 今もメディアの主要部分を占めるのは新聞だが、全国紙から地方紙まで、各新聞社の傾向を知るには社説とコラムと読者投稿欄を見ればだいたい分かる。大手の朝日や毎日や読売など、最近はたいした違いが見られなくなりどれもが大政翼賛的になってしまった。

 東京には東京新聞という地方紙があり、権力に迎合する大新聞と違い、リベラル色をかなり出している。権力批判というジャーナリズムの魂をそれなりに発揮しているのが東京新聞だと思う。

 さて、私の地元・石川県の新聞といえば北國新聞(ほっこくしんぶん)と北陸中日新聞。中でも北國新聞は普及率7割で圧倒的な力を誇示する。北陸中日新聞の普及率は約2割。全国紙の朝日や読売も参入しているがほんのわずか。そんな大部分を占める北國新聞だが、困ったことに、これがとんでもないウルトラスーパー右翼新聞なのである。

 保守色が強いのは地方紙の特徴とはいえ、それでも地方の視点から中央にはそれなりに意見具申するのが普通だろう。地元には保守的であっても中央に対しては批判的な姿勢をとるのが地方紙の個性だと思うが、残念ながら北國新聞にはそういった意地すらなく、ただひたすら体制権力を持ち上げるばかり。昔から自民党と一緒、今現在は安倍政権とベッタリ、アベノミクスをはじめ提灯記事のオンパレードだ。

 かつては北國新聞にもリベラルっぽいところはあったらしい。しかし飛田秀一という人物が社長に就任してからは右翼傾向が特に強くなった。以前、ある飲食店のママに「飛田という人は読売の渡辺恒雄みたいらしいね」と尋ねたところ、「いや、ナベツネどころか北朝鮮金正日と同じよ」と言い返されて、おおいに納得。それほど地元では独裁的で威張っているのである。

 北陸中日新聞東京新聞と紙面共有しているので、社説やコラムはほとんど同じ。北國新聞と読み比べるとその違いは鮮明である。東京における東京新聞の普及率は6〜7%くらいか。それに比べれば石川における北陸中日新聞の普及率約2割はかなり高く、まだ救いを感じる。

 金沢市のド真ん中に建築基準法に違反した北國新聞の巨大本社ビルが聳える。醜く、目障りで、古都金沢にはまったくふさわしくない。ところで私の好きな女優に地元出身の田中美里がいるが、なんと彼女は「ふるさと不足」をキャッチコピーに北國新聞のコマーシャルに起用されている。とても残念だな。