幽霊は存在するか?

 夏といえば、お祭り、花火、浴衣…と並んで、幽霊が定番である。8月の中旬はお盆で夏休み。先祖に手を会わせるためお墓参りをする人は多く、普段は意識せずとも、この季節だからこそ亡くなった方々に思いを馳せることで霊への関心がいつもより高くなる。

 ところで、幽霊を見たという人は大勢いて、だから幽霊を信じて怖がる人はかなりいるらしい。残念ながら私はまだ幽霊らしきものを見たことがなく、是非見たいと思いつつ、じつは初めからそれらの存在をまったく信じていないので、すぐ隣に幽霊がいたとしても、私には見えないだけなのかもしれない。

 この世には解明されない謎がまだまだ多く、超自然的現象を100%否定するつもりはない。が、しかし、私は巷に溢れる幽霊話を99.9999%信じない。私は幽霊を信じないが、ただし幽霊を見たという人が実際にいること事態は認める。物理的というか第三者的に幽霊など存在するはずないが、自分勝手に幽霊を見ることは大いにありそうだ。

 いろんなものが顔に見えてくる。自動車や電車の正面とか、生活用品とか、建物や樹木とか、穴の開いた壁とか、天井の染みとか、よ〜く見つめると、目があり、鼻があり、口があり、なんでも顔に見えたりする。そうなのだ、人は勝手に見てしまうのだ。

 人は明るい場所より暗闇に惹かれるのは、自分がこれまで経験したいろんなことが浮かび上がり、それらが増幅して新たな世界が生まれるからだ。ある意味、繊細で想像力が豊かであればあるほど、怪しげな妄想を編み出し、自ら暗示をかけて信じ込む。

 幽霊だけでなく、高所、閉所、先端、対人、爬虫類…等々いろんな恐怖症を人々は抱えている。だが、それらよりもっと怖いものがあり、怖いもの無しという人でもかならず恐れていることがじつはある。それは、どんな人も自分が狂うかもしれないという潜在的意識である。精神が正常なつもりでも人は等しく不安定な存在であり、無意識の奥深く狂気がいつ点火するかもしれず、人はそれをもっとも恐れていると思う。

 存在しない幽霊などちっとも恐くない。しかし内なる狂気が生み出す、見たくもない幻視が現実になることの方を人は怖がる。

 さて、麻生太郎副総理のナチス容認ともとれる発言が出たりする今日の日本では、ゾンビのような安倍政権から次々とファシズムが誕生して社会を覆いつくすかもしれず、こちらの方がどんなに恐いことだろう。冗談でなく、本当の恐怖が眼前に蘇るかもしれない。