日本社会の試練

 自民党杉田水脈というネトウヨ衆院議員が「LGBTは子をつくらず生産性がない…」と月刊誌で主張、これには野党や市民から厳しく批判されている。ところが身内の自民党は「多様な意見のひとつ」として是認。

 マイノリティーに対する差別行為は決して許されるものではなく、ましてや国会議員の発言となれば、もうそれだけで議員辞職は当然。今の自民党には杉田水脈のような無知で恥知らずな議員があまりに多く、安倍政権の本質がモロに出てしまっている。

 これだけはハッキリ言っておきたい。「弱者が権力(強者)を批判する自由は絶対に保障されなければならないが、しかし基本的に強者(権力)が弱者を批判する自由などない」ということ。力関係を無視して何でも自由なら、強者は益々強者に…弱者は益々弱者に…もうそれだけで独裁体制は強化される。

 LGBTに対してだけじゃなく弱者全般に批判的な杉田水脈という議員は、一般大衆が無意識に抱えてる「無知・短絡・浅はか」を、ものの見事に集約し体現してるかのようだ。

 国会議員のもっとも重要な仕事のひとつは弱者救済であり、底辺を生きる人々の声なき声を掬い上げ、格差解消に努め、底上げを図らなければならないはず。それを目指すことで社会が安定し、地域や国の潜在力を蓄え、であればこそ様々な分野で生産性を高めることが可能となる。

 弱者を蔑ろにするような杉田水脈議員の心には、ナチスと同様な優生思想が蔓延り増殖してるかのようで、おそらく彼女のような人物はどこにでもいるのだろう。しかし堂々と表舞台に出て、一定の支持を得られるという現実は危険極まりない。

 杉田水脈と合わせ鏡がまさに安倍晋三であり、自民党がもはや保守ではなく単なる極右に過ぎないことを証明している。「他に代わる人がいない」という消極的理由で支持される安倍首相。もし安倍に代わる人がいなければ日本は滅亡への道をまっしぐらだ。

 私たち一人ひとりにも杉田水脈的要素があることを自覚し、と同時に私たち一人ひとりにもLGBTが存在することを自覚し、差別と格差が蔓延する社会状況を克服しなければ。それができるかどうか、日本社会は試練の時代を迎えたようだ。生産性があるとかないとかを基準にすること自体問題だが、結局、もっとも生産性のない人物とは杉田水脈であることを本人自ら露呈してしまった。