共謀罪成立

 「共謀罪」が参議院で可決、衆議院での可決と合わせ成立してしまった。そのあまりに強引な与党の手法にただただ呆れるばかり。まるで日本社会全体が安倍政権から無理やり強姦されたかのようだ。日本は独裁国家となり、安倍晋三は完全な独裁者に成り下がった。ここまで酷い内閣は戦後初めて、あの小泉純一郎がまともに見えてくる。

 直後の世論調査内閣支持率はさすがに36%まで下落したが(毎日新聞)、まだまだ高過ぎる。いずれまた50%前後まで復活するだろう。こんな状況を招く一番の原因は日本国民の無責任体質だ。とにかくなんでも他人任せ、面倒くさいことはイヤ、という自分勝手主義に国民の多くが染まっている。

 共謀罪は来月の7月11日から施行されるらしい。それが施行されたからといって私たちの生活は急激には変わらず、いつも通りの日々を送ることになる。しかし、3〜4年後には確実に雰囲気が変わっているはずだ。

 世間が妙に静かにおとなしくなることは間違いなく、大規模デモなどほとんど実行されないことから、それで国民は社会が平穏になったと逆に安心するかもしれない。権力の不正はほとんど表に出なくなり、日本全土が刑務所と化す。

 囚人となった国民だが、その自覚すら大勢は抱くことはなく、食事と仕事を与えられ、いくらかの娯楽で時間を費やす。そして、そんな自分たちは平凡でつくづく幸せだと実感するわけである。国民は黒いベールで覆われたカゴの中の鳥、外の本当の世界を知らないまま一生を終える。もちろん、もし戦争が勃発すれば、囚人は真っ先に最前線に送られる。

 それにしても、問題意識を持つ人と持たない人の違いは一体どこにあるのか。デジタルのように線引きなどできないし、濃淡の違いはあるだろう、しかし目には見えない分厚い壁が両者を隔てている。