貧しき者たちよ、連帯せよ

 アメリカ合州国次期大統領にドナルド・トランプ氏が当選した。これには世界中がビックリ仰天し大騒ぎになったが、期待と賞賛の声はあまりなく、多くが落胆と絶望にまみれている。当然だろう、自国第一主義で、人種差別主義者が最強国の指導者になるのだから。

 プアーホワイトと呼ばれる層が圧倒的にトランプ氏支持に回ったらしいが、彼らは自らの将来を考えず、ただ憂さ晴らしのためトランプ氏を支持したかのようだ。結果的にこれは自らの首をさらに締めることになる。トランプ氏が貧しい人々のための政策などするはずがないではないか。

 トランプ氏は大富豪で支配層のひとりに過ぎず、さらなる規制緩和を実行し、格差・差別を拡大させるだけである。自国第一主義というのもウソで、自分達の富裕層第一主義に走るだけだ。

 選挙人数ではトランプ氏が圧勝したが、しかし得票数ではヒラリー氏の方が多かったという事実は消えない。投票者の半分以上がトランブ氏を拒否した事実を忘れてはならない。トランプ氏は本質的に勝利したわけでは決してないのだ。

 それにしてもつくづく思う。人種や、肌の色や、宗教などの違いだけで、貧しき者同士がいがみ合ってどうする。プアーホワイトの仕事を奪っているのは、移民でも外国の関税でもない、一握りの富裕層が政治家を操り、自分たちの利益誘導のため格差拡大の政策を実現させているからだ。白人貧困層の敵とは自分勝手な富裕層・支配層なのであり、同じく貧しきヒスパニックでもイスラム教徒でもない。

 トランプ大統領誕生に大喜びなのは、フランス極右政党国民戦線マリーヌ・ルペン党首や、米国白人至上主義集団KKKの前代表David Dukeなど似た者同士。ロシアのプーチン大統領も、中国の習近平主席もほくそ笑んでる。

 母子家庭で育った私も貧しかった(最下層ではないが)。だからこそ貧しき者たちに自戒を込めて訴えたい。流されてはいけない、学ばなければダメだ。環境は恵まれなくとも、なんとか自分で時間を作り、少しずつでもいいから知識を蓄え、知恵を働かせること。それをしないといつまで経っても騙されるだけ、そのまま人生を終えることになる。