豊洲の闇

 政治の裏側は魑魅魍魎、何が蠢いているか分からない。報道の裏の裏まで読み取る能力がないとまんまと騙される。とはいえどんなにメディアリテラシーを高めようと、その現場に入り、当事者にならない限り真相を知ることはできない。

 東京の豊洲市場問題などはその典型かもしれない。あるはずの「盛り土」がなかったとメディアは責任者追求、だがそんなことは事の本質でないことぐらい誰だって分かる。問題はもっと奥深く、東京湾沿岸を中心とした再開発に絡む巨大利権にメスを入れなければダメだ。

 さて、新都知事の小池氏、メディアは彼女をまるで正義の味方であるかのように祭り上げるが、果たして彼女はどこを見据えているのだろう。毒物が湧き出る豊洲で生鮮食品の市場が開設できるはずがなく、築地から豊洲への移転は中止になる可能性が高い。

 豊洲移転は中止、築地を再利用、それはそれでいい。しかし問題はその後だ。ほとんど完成した豊洲の建造物を取り壊し更地にするはずがないのだ。新たな建造物は目的を変え新たに有効活用をしなければならず、その為にはどうするか。

 豊洲問題の核になりつつある「盛り土」問題だが、そもそも盛り土をしても危険物質を完全に除去できる保障はなく、なぜ盛り土をしなかったかと言えば、どうせ豊洲への市場移転は中止になるだろうから、その先を読んで次の施設の為に空洞にしたわけだ。

 次の施設とは何か。それは巨大カジノ。豊洲にいきなりカジノ建設では都民のみならず国民からも反発を食らう。よって築地からの市場移転をクッションにとにかく建設を優先させる。

 繰り返すが、ほとんど出来上がった建造物を再び取り壊すことにはさらに難しいので、市場移転は中止にするが、代わりにカジノで有効活用しましょう、というわけだ。カジノ開設を新たにぶち上げる。いや、むしろ、巨大カジノ建設こそが真の目的だった可能性がある。

 これくらいのシナリオなら国や都の官僚や議員が結託して描くことは容易い。その背後には表沙汰には決してできない巨大利権が蠢く。あの空洞にはカジノ用の駐車場、収容施設、そして監視システム等が入るのだ。