軍隊から警察へ

 「海外で邦人が人質になったとき自衛隊を出動させ救出できるようにする」と安倍首相は発言したが、どこまで本気なのか、それとも冗談のつもりか。

 自衛隊が海外へ出動という行動は少なくとも日本だけの判断でできるわけがなく、米国の了解を得、当事国から賛同を得なければ不可能だし、第一、国内で自衛隊法を変更するだけでなく、関連法案から憲法改憲まで進めなければ無理 (安倍首相の発言は憲法改憲を推進させる意図がミエミエ)。

 かりに自衛隊邦人救出のため出動しても成功する保障はないし、成功しようが失敗しようが多大の犠牲者が出る可能性がある。

 人質になった邦人だけでなく、犯人グループ、自衛隊員、当事国の一般民衆…「人質救出」という大義名分のため多くの人命が失うことになれば責任の重大さは計り知れない。

 では、人質を救出するためにはどうすればいいのか。軍隊の出動は最悪の手段。だからその正反対の方法を模索するしかなく、武器を使わず、水面下で交渉をつづけること。犠牲者を極力出さないことを考え、もし方策が行き詰まり、武器を使用せざる得ないとしても、あくまでそれは警察の仕事である。
 
 今回の「イスラム国」の問題は国と呼ばれているが実態はテロリスト集団だ。テロリストと対峙すべきは警察であり軍隊ではない。以前の記事でも書いたが、国際問題は国連が中心に動くべきで、各国の軍隊は国連管轄の警察組織へと移行すべきだ。

 憲法9条を世界憲法へと昇格させ、国々のバラバラな軍隊は国連下にて管理させる。もはやそれは軍隊ではなく警察となる。どんな時代になろうと科学技術の進展は止まらず、また世代交代してゆく中で、犯罪・事件は必ず発生する。インターネットに象徴される時代、もはや国境はほとんど意味をなさず、問題が複雑化し国家単位では処理しきれなくなる。

 「自衛隊を海外へ出動させる」はトンデモ発言。「自衛隊を国連へ移管させ、国際問題は国連で協議を重ね解決の道を探る」と日本の首相たる安倍晋三は発言すべきなのだ。