AV女優のこと

 私はごく普通の健全なる?男性なのでアダルト系のものにはそれなりに興味がある。

 ピンク映画専門館がほとんど消滅した現在では、替わりにインターネット上でアダルトサイトがなんでもござれ、局部のモロだし無修正全盛と化している。そんな、アダルトサイトに登場する女優さんたちのあまりに大胆な振る舞い(過剰な艶技)に、私はただただ驚き感心するばかり。

 スタイル抜群の美しい女性たちが身をくねらせ喘ぎ悶え、なにもかもをさらけ出す姿には圧倒される……が、しかし、彼女たちからエロスを感じることはほとんどない。それは当然といえば当然で、アダルトサイトの目的は異性や同性の裸の絡みをアップで見せる即物的属性が主眼なのだから、エロス(物語的精神性)を期待すること自体が間違っているのだ。

 とはいえ、どんな世界にも例外が存在するように、アダルト系の中にも惹かれる女優さんはいて、具体的には 櫻井ゆうこさんなど私の好みである。スレンダーな身体なのに垂れ気味の豊かな乳房がなんとも色っぽく、エロティシズムを感じさせてくれる数少ないAV女優さんである。宮下順子系で、ちょっとふっくらした純日本風な顔立ちもいい。

 彼女は2007年から2012年頃まで活躍していたようで、最近は出演作が見当たらない。年齢も30代半ばとなり引退したのだろうか。40、50、60代になってもアダルト系で頑張る女優さんもかなりいるらしく、年齢を重ねたオバサンの櫻井ゆうこさんを見たいという妙な期待もあるのだが、現在どうしているのだろうか。どこで何をしてもどうか身体を大切にして生き抜いてほしい。

 現在、日本にAV女優さんの数はどれほどいるのか。6000人ほど、いや1万人を超えるとも聞くが、そのほんの一部しか知らない私だが、櫻井ゆうこ以外の女優さんは残念ながら私にはマネキンである。

 若い頃を思い出す。誰かに見られたらマズイと思いながら、入ろうか入るまいかとピンク専門の映画館の前を行ったり来たりしていたことがしょっちゅうあった。そんな劇場前でうろちょろする方がはるかに目立つのだから、思い切ってサッサと入場すればよかったのにと年を経てから苦笑する。

 その昔、ポルノの自由論争がマジメに繰り広げられたことがあったが、インターネット全盛の現在から振り返ると、なんとも他愛なく、世間全体が純真素朴だったのではと錯覚しそうだ。

 それにしても、アダルトサイトばかり見ていると精神的インポになることは確実。人々から想像力を奪うこれほど手軽で便利なものはないだろう。権力が規制しないのも当然である。