100円ショップの品々

 100円ショップが出てきたのは1990年代の半ばあたりからか。もうスッカリ定着したが、最初の頃は「これがたったの100円!?」というくらいビックリすると同時に、大きなものから小さなものまで全ての品目が100円だなんて、どうして商売が成り立つのか不思議だった。

 最近の100円ショップでは、さすがにオール100円というわけにはいかず、物によっては200円〜500円(消費税抜き価格)くらいの値段が付くものもある。それでもまだまだ大半が100円で、私のような貧乏人は重宝している。

 台所用品、取り付け金具、文房具など生活必需品のほとんどが100円。特にプラスチック製品は丈夫で長持ちするので、普通のスーパーで似たような品物に何百円も払うことがバカバカしい。

 ところで私はiPadを持っており、以前タブレット用のペンをパソコン販売店で購入したことがある。なるべく品質の良いものをと、その時は2000円近くしたペンを選んだ。ところが期待したほどではなく、でも、まあ、こんなものかなぁと思いつつ、これまで使用してきたわけだ。

 100円ショップでタブレット用のペンを発見。予備のために3種類のデザインの違うものを購入し、計315円(税込み)を払った。そしてさっそく試してみたところ、なんとどれもが2000円の品物よりも使い易い。しかも3種類ともボールペンとしても利用できる代物で、これはスゴイ。一本100円のペンが2000円のペンよりもはるかに優れモノなのである。これはいったいどうしたことか。

 なぜこんなに安いかといえば、中国をはじめとする、コストがかからない第三世界の地域で大量生産しているから。日本や欧米などで同じ物を作るなら何倍も高くなることはもはや誰もが知っている。私のような貧乏人は、だからこそ複雑な気持ちを抱かざるを得ず、心の矛盾と向き合うことになる。

 似たようなペンが一方では2000円、もう一方ではたったの100円。この現実に世界の格差が見えてくる。もし世界が公平なら、おそらくタブレット用ペンはどこでも500円前後だろう。地球上の大多数の人々の生活向上のために、私たちは生活レベルを下げるしかなく、これからはその覚悟が益々問われることになりそうだ。