問題があるのにないかのように装うことこそ大問題

 中国に招待されて「日中間には係争地がある」と発言した鳩山元総理が保守・右翼陣営から国賊扱いされてるらしい。しかし、尖閣諸島は紛れもなく日中間における係争地であるから、鳩山さんはただ事実を述べただけだ。問題があるにも関わらず問題がないかのように振る舞おうとする姿勢こそが大問題だろう。

 2009年に民主党政権交代する前までの長らくつづいた自民党政権の正体とは、じつは問題だらけの実態を覆い隠し、まるで問題がないかのように取り繕う、まさにインチキ政権だったと言える。原発や沖縄の問題を顧みるだけで自民党政治がいかに国民を長期に渡り騙しつづけてきたかが分かるというもの。自民党こそが国賊だ。

 民主党の鳩山元総理は国民の期待に応えられなかった。そういう意味では責任重大だし批判されても仕方ない。だが、歴代の自民党総理に比べれば遥かに人間的で温かみがあった。だから我々有権者の責任として、今度こそ問題を少しでも解決しようと道を示してくれる勢力を選ぶべきだったのに、衆議院選挙で大量に当選させたのは、再び問題を隠蔽したがる多くの自民党議員たちだった。

 保守・右翼陣営は鳩山さんが中国に招かれて発言したことが気に食わないらしいが、ならば中国から要人を日本に招待して鳩山さんと同等の「問題あり」発言をしてもらえばいい。双方で問題がないかのように意地を張ることで大問題に発展するよりも、双方が互いに問題を認め合いながら共同管理意識を高めていく…その方がどんなに友好的で平和的か。

 国際間のイザコザだけじゃなく、原発も、沖縄も、そして学校のいじめや体罰に関することも、問題があるにもかかわらず、まるで問題がないかのように装ってきたからこそ大問題になった。個人でも組織でも何か問題が生じるとどうしても隠したがるが、いずれ必ずバレバレになる。かりに隠し通せたとしても、問題の膿みはヘドロのように沈殿し罪の意識から逃れることなどできない。

 大手企業の製造現場では「無事故連続○○○○○時間達成」と誇らしげに看板がぶら下がっていたりするが、どうもインチキ臭く従業員の悲鳴が聞こえてきそうだ。実態は事故だらけなのに、じつは本人の自己責任に転嫁させ、会社は無事故を装い責任逃れをしているだけなのだ。