火星に生物はいるか?

 米国NASAの探査機キュリオシティが8月6日火星に軟着陸して早速画像を送って来た。インターネットで一連の写真を眺めていたが、その鮮明さに驚くとともに、地球でも見かける砂漠のような風景が、火星上のものとは思えず親近感を抱く。拡大してじっと見ていると、地平の彼方からラクダに乗ったアラブの行商人が近づいてくるかのようだ。

 山が聳え、岩の影が見え、石が散在する火星の地面を見ていると、ムカデのような小動物が這い、ペンペン草くらい生えていそうな気がする。果たして火星に生物は存在するのだろうか。キュリオシティによる本格的な調査はこれからだが、もし何か微生物らしきものが見つかったなら、それこそ世紀の大発見となる。

 若い頃から宇宙に興味のあった私は、随分前だが「地球外生命」に関する本を何冊か手にして、その中には、いくら宇宙が広大といえども生命が存在するのは地球だけという説も読んだ。何でも生命が誕生する奇跡の確率を計算すると、現在の宇宙はあまりに小さく、こんな狭い宇宙に幾つも生命が存在するはずがないということ、それなりに説得力はあった。

 地球生命唯一説はまだ有力かもしれないが、しかし現在、地球外生命を肯定する意見の方が圧倒的に多く、私もその存在を信じているし、信じたい。ただし、巷に溢れるUFOや宇宙人を見た、という噂話を私は全く信じない。そんな簡単に地球外生命と接触できるはずがなく、物事は論理的・科学的に分析し判断すべきだ。

 これまでの探査のおかげで火星について多くの謎が明らかとなり、かつては海が存在し、大量の水が地表を潤していたらしいことも分かった。現在、火星の表面は赤土色の砂漠で覆われているが、しかし、ひょっとして地底深くには今も大量の地下水を蓄えているかもしれず、水の存在が確認されたなら生命存在の可能性は高くなる。もっとロマンを膨らませ、地中から古代遺跡でも発見されたらどんなに素敵で面白いかと思う。

 いろいろ想像してみるのは楽しい。火星から生命が発見できなくても、木星の衛星エウロパの海には何かが潜んでいそうだし、さらに遠くの太陽系外には何者かが必ず存在するはずだ。簡単にコンタクトできないだろうが、地道に探し求めるしかない。ちなみに私は、地球外生命体を探索するプロジェクト「SETI」に自分のパソコンを利用して個人的に参加している。