夏の終わり

語りが途絶え
歩みが止まり
思い出さえも閉じ込められて
あらゆるものが平伏する
重い大気の底のほうを
青く太い紐のようなものがくねる
ただじっとそれを見つめる午後のひととき
ゆっくり時間が流れる
時間の流れとともに
静かに 静かに 沈殿するものがある
どこかで異をとなえる声が聞こえても
圧倒する静けさに消されてゆく
積もりゆくあまりの静けさが 
すべての過去を消し去り
あらゆる未来を奪い
めぐり訪れるはずの夏は
もう来ない