広い視野で臨みたい

 日本社会の大きな問題は「少子高齢化」である。このままでは高齢者の人口比率は益々高くなり、近い将来ひとりの若者でひとりの高齢者を支える社会構図となる。だが、やがては、その高齢者たちにも必ずお迎えが来て、その後の日本の人口はいっきに減少してゆく。

 しかし、世界的にはアジア、アフリカ、中南米諸国を中心に「発展途上」と呼ばれる地域では「爆発」と表現してもいいくらい人口は急増しているのだ。2050年前後、地球上の人口は100億に達するとの予想がある。

 以前から指摘されている通り、世界中の人間がこれまでの米国人や日本人のような暮らしを求めれば地球は幾つあっても足りない。もし100億の人間がこれまでの米国人や日本人のように物質的な豊かさを求めたら果たしてどうなるのか――そんな近未来を想像するだけでも怖くなる。

 正直、米国や日本やヨーロッパがいつまでも現状を維持できるはずがなく、「先進国」と呼ばれる国々では財政問題が逼迫して破綻寸前だ。栄枯盛衰の言葉どおり、栄えるものは必ず衰退し、威張るものは必ず仕打ちに遭う。「BRICs」とか「VISTA」が経済界を中心に語られるが、さらにその後は中近東・アフリカの時代になるだろう。

 そもそも先進国と途上国の区別があること自体、地球全体が発展途上のなによりの証拠で、地球を荒れ放題にした先進国の責任は大きい。地球再生のためには各国が平準化するしかない。

 日本に限ればこのままでは奈落の底に突き進むだけだ。もし、それなりの水準を保ちたければ手を打たねばならず、人口減少による労働力と財源の不足をカバーするには外国人を大勢受け入れるしかない。それこそが平準化への日本の役割である。

 その結果、国際結婚をどんどん推奨させて人種問題を克服し、様々な国々や地域間の相互交流を一層盛んにすることで、領土問題など遠い昔の出来事に追いやろう。

 これまでの「国家にこだわる日本人」から、これからは「世界を視野に入れた地球人」になる。それができるかどうか、いよいよ試される時代がやって来た。