人生は失敗の連続

 世界の動向から身の回りに至るまで、先々の事は自分が都合よく思い描いた通りには決して進まない。予定は必ず狂うから、失敗や損失を最小限に食い止めるため、なるべく早めに行動し準備することだ。

 「段取り七分に技(仕事)三分」の諺のとおり、本番に取りかかる前の準備がいかに大切であるか、段取りがしっかりしていれば不測の事態が起きてもその場で柔軟に対応できる。

 どんな人も過去の自分を省みれば失敗ばかりしてきたことだろう。特に初めての体験に挑めば失敗するのは当然で、それを繰り返しながら人間は成長していく。失敗ばかりの人生を嘆く必要はなく、それは常に新しいことに挑戦してきた証、むしろ誇るべきだ。

 とはいえ、早めに行動し準備したにもかかわらず人は同じ失敗を度々することがあり、それが原因で行動することを恐れ、萎縮してしまう。周囲から怒られるのが怖くて、やがて新しいことに挑戦できなくなる。

 ただ、同じ失敗を何度も繰り返す、とは言っても時間差があり環境が微妙に変わりもするから、じつは前回とそっくり同じ状況であるはずがなく、厳密に言えば人間は常に新しいことに挑戦しているわけである。

 昔から「失敗は成功のもと」とよく言われるが、似たような失敗を繰り返すことで細かな部分が次第に修正され、目指したものにどんどん近づける。失敗は成功のもとだが、逆説的に「失敗こそが成功」とも言えるのだ。

 「なにくそ魂」を常に心に秘めつつ、「自分を笑い飛ばす」ことができるなら、その人物はかなり充実した人生を送れると思う。「なにくそ魂」の発揮は自分自身を鼓舞し、成長するために。「自分を笑い飛ばせる」のは余裕ある証拠、おおらかになれる。人生は失敗の連続だが、この二つで何とかなる。

 数少ない成功物語より、多くの失敗した事例に人々は共感する。嬉しくて涙を流すより、失敗して恥かいて笑われる方が貴重な体験を得る。日々の小さな出来事にいちいち深刻になり落ち込む必要はない。