夏の様変わり

 夏の季節、かつては30℃が基準でそれ以上だと暑くてやりきれず、それ以下だと涼しくホッとしたものだが、今やその基準は35℃になってしまった。

 近年の暑い夏の期間、午前中はまだ扇風機だけで過ごせるが、昼近くになり室温も30℃にもなるとエアコンを点け、そして熱風と日差しを避けるため窓やカーテンを閉める。おかげで青空や草の緑は視界から遮断され部屋は薄暗くなる。

 エアコンの冷房を有効活用するためとはいえ、空間が狭苦しく息が詰まりそうになるのは正直とても残念だ。これがまだ冬なら暖房のためにと理解できても、せっかく解放的な気分の夏なのに部屋に閉じ籠らざる得ないとは。

 真夏の日中に外出するのが超危険になったのはいつ頃からか、もうずいぶん経ったような気がする。子供の頃、夏休みは川遊びやセミ取りに明け暮れ、時の経つのも忘れ外で遊び呆けていた。それが年を取ったせいか身辺の環境が激変してしまった。

 私は昔から寒いのが苦手、だから温暖な瀬戸内海周辺等に憧れていたが、しかし気候変動による温暖化で気持ちが変化。全国の天気予報による西日本各地の気温は、ほとんどの観測地点で連日37~39℃の表示。一週間程度ならガマンできても、それが一ヶ月も続くとしたら…もう地獄じゃありませんか。

 私が住む金沢も暑いが、幸いここしばらくの気温は最高でも32~33℃で猛暑日になることはほとんどなく、かなり助かってる。しかしこれもたまたま、今夏は運がいいだけのこと。それにしても、もし真夏に巨大地震が発生、電気や水道のインフラが破壊されたとしたら…と想像するだけでゾッとする。

 寒いところもイヤだが、暑いところもイヤである。さらに、日本のどこに暮らそうと地震から逃れられないし、春は花粉や黄砂が舞い、秋は台風が襲来。豪雨、大雪、猛暑…、地球上で日本の気候は穏やかな温帯なはずなのに、年間を通して過ごしやすいのは初夏の短期間だけとはあまりに悲しい。