日本社会の縮図

 なんだか凄い展開になりそうだな。兵庫県尼崎市死体遺棄事件で逮捕された角田美代子被告に関することだよ。角田被告の周辺からは何人もの死体が発見され、行方不明者がどんどん増えてる。どのワイドショーも連日大きく取り上げ、原発、沖縄、政局、領土の問題等々を押しのけトップの話題だ。

 全容が明らかにされてない以上、憶測で判断するのは禁物だけど、要するに角田美代子という親分がマインドコントロールで他人の家を乗っ取り、財産を奪うだけでなく、普通の家庭内に虐待と暴力を充満させ関係者を殺害した挙げ句、何もかもを闇に葬ろうとしたらしい。

 今現在分かっているだけでも、8人の行方不明者や死亡者が確認されているから、これから先さらに犠牲者が増えるかもしれない。犯罪史上に残る大事件に発展することだけは間違いなさそうだ。

 角田美代子被告と接した人々の証言から、関係者がいかに恐怖の呪縛に捕われていたかが想像できて、自分の身辺に置き換えるとゾッとする。これは特殊な事件のようだけど、冷静に考えれば考えるほど特殊とは言い切れないんじゃないかな。日本社会に蔓延する上下関係やしがらみ、つまり見えない鎖に絡められてがんじがらめにされてる一人ひとりの「私たち」をついつい連想するよ。

 政治の世界を見るだけでも、上下関係やしがらみでガチガチに呪縛されてるじゃないか。表舞台に顔は出さずに裏に回り、あれやこれやと操ろうとする得体の知れない個人や組織の存在がなんとなく浮かんでくるね。結局、一番迷惑を被るのは一般の庶民・納税者なんだけど、直接手が下されないから皆が鈍感になってるだけだ。我々もいつの間にかマインドコントロールされてるんだ。

 自分の近くに角田美代子のような人物がいないのはただ運がいいだけかもしれない。ある日突然、目の前に角田美代子に似た人物が現れるかもしれないし、なによりも自分の内部に彼女のような存在が巣くって、いつそれが羽ばたくか分からないからね。殺された人は可哀想だと静観するだけじゃなく、内なる「角田美代子」を自覚して克服することが肝心なんじゃないかな。