4月から一斉に値上げ

 4月に入り、アベノミクス(実際はアベコベミクス)の円安による影響で生活用品が一斉に値上げする。原油液化天然ガスの値上がりの影響で電気・ガス料金が値上げ(5月以降)されるし、小麦を扱うパン・菓子・麺類、そしてトイレットペーパーやテッシュペーパー、食用油、缶詰……さまざまな品目の値上げが庶民生活を直撃する。さらに、それら生活に直結する品々だけじゃなく、ダイヤモンドや金、プラチナなど宝飾ブランド等も件並み値上げだ。

 どう考えても、アベノミクスで得をするのは一部の業者に過ぎず、私たちの生活は益々苦しくなるとしか思えない。

 1960年代前半に池田勇人という自民党の総理大臣がいた。彼は「貧乏人は麦を食え」と発言したりして数々の物議を起こしたが、同時に「所得倍増計画」を打ち立て日本の高度経済成長を加速させた。現在の、自民党の総理大臣安倍晋三は「2%物価上昇」を掲げ経済復興を目指そうとする。

 同じ自民党なのに、経済を活性化させる文言として、一方は人間に視点を置いた「所得倍増」、もう一方は人間を無視した「物価上昇」。時代が違うとはいえ、この差は大きい。

 円安になり、株価が上がり、金融経済が潤っても、大多数の庶民の財布が膨らまなければ意味はない。安倍首相が「物価上昇」以上に、働く人々の「所得上昇」を前面に出せるなら、まだ多少の救いはあるかもしれない。ところが、せいぜい大企業の経営者に向かって賃金アップをお願いするだけでは底が知れている。

 ローソンなどが自主的に正社員の賃金アップを表明したが、全従業員の一割いるかいないかの正社員だけが対象ではどれほど効果があるというのか。大多数のアルバイトやパートの給料が大幅アップし生活が安定してこそ説得力があるというもの。不安定なアルバイトやパートの非正規社員に支えられる企業の実態がそもそもおかしい。

 少子高齢化と人口減少が加速する日本の現状で、かつてのような経済成長を目指そうとすること自体に無理がある。無理を押し通そうとすれば必ず破綻する。これからの日本にふさわしい社会の安定政策があるはずなのに、昔の亡霊に取り付かれたかのような安倍晋三的政治手腕は庶民を不幸にさせるだけだ。