柔軟に生きる

 気象庁は正直に「今年の梅雨は二度ありました」と宣言していいんじゃないか。今も昔も日本社会に欠けてる重要な要素の一つが柔軟性。一度決めたことをなかなか変更できない。なぜなら、方針転換すると「いい加減」とか「優柔不断」と批判されるから。

 とはいえ、今年は日本各地で6月中に梅雨明け宣言した後、7月に入って本格的な梅雨を迎えたし、そして本当に梅雨明けしたのかどうかも未だに分からない。気象庁は取り繕うためかなりの時期を経て修正するだろうけど、むしろ今の時点で見直せば人々はより納得するんじゃないか。

 一度決断したことをとことん邁進すれば、その姿勢は賞賛されるかもしれないが、けれど個人的にも社会的にも猪突猛進して失敗した事例は過去を振り返れば数多くあり、もしそれで多大の犠牲を強いられるとしたら不幸の極みだ。その都度、何がよりマシかを立ち止まって考えられる余裕が欲しい。

 それにしても先週の後半は想像を超えた雨量に見舞われ大変だった。我が家には敷地内に雨水浸透桝が設置されているが、その処理能力を超えて蓋から水は溢れ、さらに家の前の道路の側溝からも水は溢れ、上方から下方へと道路はまるで川のようになった。

 先週の豪雨では、石川、福井、新潟、山形が一番の危険地帯となる。近年は西日本や関東・東北、太平洋側で豪雨の被害が多く出て、北陸地方はそれほどでもなかったのに、もの凄い雨を実際に体験してみてとうとう北陸にも来たかと実感。

 私の住んでる地域は比較的高台なので、これまで雨による被害はほとんど出ないだろうとタカを括っていた。しかし、安全・安心ではないことがよくわかった。高台だから川の氾濫で家が水に浸かることはないが、道路が狭く入り組んだ場所では集中豪雨で水の行き場がなくなり、床下浸水だけでなく床上まで浸かる可能性は十分あり得る。

 地震、台風、豪雨、猛暑…安全・安心な場所なんてどこにもないのだ。柔軟な気持ちを忘れず、妙なこだわりを捨て、必要最小限な物をすぐ取り出せるようにし、いつでも逃げ出せるよう、準備を怠らないようにしたいと思う。