紀州のドンファン事件、不幸な男女関係

 「紀州ドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さんの不審な死に方で、元妻の須藤早貴が殺人容疑で逮捕された事件は、新型コロナと並び連日メディアでトップ報道されている。決定的な証拠もなく、まだ容疑者の段階にもかかわらず、彼女の素性が丸裸にされる報道姿勢には大きな疑問符がつく。

 怪しい、確かに私もこの元若妻は限りなく怪しいと思うが、しかしワイドショーでは新型コロナより最初に時間を割いて報道してるらしく、明らかにやり過ぎだし、人権の問題も孕み後々問題になりそうだ。

 テレビなどほとんど見ない私ですらこの事件の中身が新聞やネットからいろいろ伝わってくる。さて、私は視点を変え、容疑者の須藤早貴よりも、死んだ野崎幸助さんに焦点を当てながら考えてみたい。すなわち男と女の関係について。

 資産家の野崎さんは4000人もの女性と関係を持ったと生前豪語していたらしく、ある意味で凄い。しかし最後は須藤早貴のような女性と一緒になったことから、私は野崎幸助という男性、結局は全然女性を知らないまま終わったんだなと思う。

 たとえ一万人の女性と関係を持っても、愛情がなく信頼関係を築けなかったなら、それは自慢できるどころかむしろ恥を晒すようなもの。野崎幸助という人物、もしかして札束で女性を引っ叩いてきたのか。

 財力で女性をモノにしたがる男性は相手の気持ちを理解しようとせず、ひたすら自分の欲望を満たすためのみに女性を利用するだけ。要するに単なるマスターベーションの道具としか女性を見ようとしない。

 野崎さんについて思いを巡らすと、表面的には真逆の、典型的な不幸な男性像が浮かび上がる。私はニュースの断片からしか野崎さんのことは知らず、だからあくまで私の想像にしか過ぎない。死者にムチ打つような形となり申し訳ないが、現時点で、野崎さんには一方的なワガママな男性像しか見えてこないのである。

 死んだ(殺された?)野崎幸助さんも、容疑者の須藤早貴も、カネ(金)だけしか頭になく、相手を尊重し慮る配慮に著しく欠けていたようだ。