猛暑とコロナのはざまで

 西日本、特に太平洋側東海地方の猛暑は異常、連日40度近い気温とはいったいどうなってるんだ。先日は静岡の浜松でこれまでの日本最高と同じ41.1℃を記録したが、41℃に比べれば猛暑日の35℃なんて涼しいくらい、金沢の31~32℃は寒くて風邪を引きそうだ。

 この暑さは今月一杯までつづくとの予報が出ている。7月は「豪雨」、8月に入って「猛暑」。これから本格的な台風シーズンを迎え、9月はもしかすると「強風」か。加えて新型コロナの猛威は弱まるどころか、秋から冬にかけ、さらに勢いを増すかもしれない。

 ところで、毎年いつもお盆が過ぎ8月も後半に入ると、寂しさがいっそう募り、何もかもがどんどん廃れて行くような感覚に陥る。真夏の頂点の賑わいが終わり、店は閉められ人の姿が次第になくなる。

 今夏は新型コロナの影響で、最初から店は閉じられたまま、人通りも少なく、いつもと違っていたが、そもそも日本社会全体が衰退傾向にあり、新型コロナがあろうとなかろうと、このまま沈んでゆくのは間違いない。それを無理して再浮上させようとするから、社会は益々疲弊の度合いを強めるのだろう。ある意味、新型コロナは私たちに大切なことを問いかけている。

 文化は人と人とのコミュニケーションによって形作られてきた。言葉はその典型だし、古代から音楽や演劇がそれを発展させた。近代になって人が集まることの重要性が益々注視され、デモや革命などを通して社会変革が可能になった。

 しかし、今現在、人が集まることが危険だと叫ばれるようになり、新型コロナの蔓延が価値観をすっかり変えるかもしれない。これは文化の衰退を意味するかのようだ。

 ひとりの人間として改めて生き方が問われていると思う。文化の衰退は人間社会の衰退そのものだから、たったひとりになっても文化を維持・発展・改革する方法を模索すべきで、インターネットのSNSを活用するのもその一つの方法。「ひとり」を自覚すること、それが個人を尊重する思想へと発展・拡大・浸透してゆくことで新たな文化が創生されると信じたい。