米朝会談したけれど

 米国と朝鮮が直接対話したことはとりあえず良かった。少なくとも朝鮮半島周辺で軍事衝突の危険性はかなり減少し、緊張が和らいだことは大変喜ばしい。しかし、冷静に見れば安心してばかりはいられない。

 威張りたがり屋の米国、そして駄々っ子の朝鮮は、言わばヤクザの大勢力と新興勢力の関係に似ている。この両者「利益にならない血の抗争は避けようぜ、しばらく和解しようじゃないか」との取り決めをしただけ、その結果、周辺住民は今現在ホッと胸を撫で下ろしてるわけだ。

 周辺住民が本当の意味で安心安全な生活を送るためには、武器を没収し、ヤクザ組織は解体されなければならない。

 繰り返すが、米朝首脳会談は歴史的にとても意義あることだが、とはいえ油断は禁物。なにしろ我が儘で独裁的な両者、この先の展開と進展がどうなるかまったく不透明なのだ。

 それにしてもトランプ大統領、まるで信用ならず、3ヵ月か半年ほど経過した後「あの会談は大失敗」と手のひらを返しかねない。なぜなら、これまでも世界中が散々困惑されてきたのだから。トランプ大統領は人々の自由や平等にはまったく関心がなく、自分が得することだけしか頭にない。

 一方、金正恩は生き残りに必死、体制保証をなんとか確約させたい。しかし体制が保証されるということは、これすなわち、朝鮮の人民はいつまでも独裁体制下に敷かれるということ。周囲の安全のため、朝鮮人民を犠牲のままにしていいのだろうか。

 米国という大親分が取り仕切っていたヤクザ社会の構造が、今後どんどん崩壊するかもしれず、それ事態は歓迎すべき。しかしだからといって、米国に替わり日本が新たなヤクザ組織を形成、かつてのように日本が再び東アジアで君臨したがるとしたら本末転倒だ。