広い視野で見ると

 朝鮮半島で和平が進めば最大の功労者は韓国の文在寅大統領だろう。そして独裁を欲しいままにして来た朝鮮の金正恩委員長も相当株を上げる。米朝会談の結果次第で、側近からバカ呼ばわりされて来た米国のトランプ大統領も評価が一変するかもしれない。

 しかし、ここは冷静に世界を俯瞰してみる必要がある。緊張が続いた朝鮮半島に平和と安全が構築されることは、周辺で暮らす人々にとってこの上もない喜びだろうが、中東の例えばパレスチナ問題は今現在どうなっているのか。

 私たちは地球人、世界全体のことを考えなければ。今現在、そして未来において、この丸い地球上にもはや近くも遠くもなく、朝鮮問題の取り組みで点数を稼いでも、中東問題が深刻化するようでは減点だ。

 特に米国の動向には気をつけたい。東アジアでは中国の影響力がとても強く米国も好き勝手できないが、中東では中国の影はまだまだ薄く、だから米国が力を誇示したがる。パレスチナやシリア、そしてアフガニスタンの周辺にこそ世界の問題が集約されている。

 ところで、過去にたくさん悪行を重ねてた人物が、ある日突然ひとつだけ良い事を成し遂げただけで、その人物の過去を精算してしまいかねなくなる。一方、これまで善行に励んで皆から親しまれていた人物が、ある日ちょっと失敗しただけで、その人物の全生涯が否定されてしまうこともありうる。

 朝鮮の金正恩委員長や米国のトランプ大統領は、今現在、前者として得点を稼ごうとする人物のように見えて仕方なく、少なくとも私は視野を広くし、短絡的に判断することは慎みたい。

 さて、身近に迫った米朝会談だが、本当に進展し和平への道が敷かれれるだろうか。悪の象徴として朝鮮が存在したからこそ日米の軍産複合体は潤ったわけで、韓国と朝鮮の蜜月に焦りを感じてる一派がいることは間違いなく、次に彼らはどんな行動に出るだろうか。油断はできない…。