都知事選を振り返って

 東京都知事選で右翼の小池百合子氏が大勝。二位に100万票以上の差をつけたのだから、ある意味大したもの。期待?された野党共闘の鳥越氏だが二位にもなれず、三位に撃沈した。

 投票率は約60%。前回より上昇させた無党派層の票の多くが小池氏に流れた。なぜか? 女性初というインパクト、自民党とケンカする姿勢。東京という大舞台を小池劇場に誘導させた演出力は見事で、この手法に無党派層だけでなく、野党支持者までまんまと騙された感じがする。

 今回の都知事選では野党側に大きな問題があった。先に立候補した宇都宮氏が無理矢理降ろされ、公示数日前に急遽立候補した鳥越氏を野党側が全面支援することに。なぜ?背後にどんな動きがあったのだろう。

 高齢(76歳)だけでなく、話を聞いても鳥越氏には不安を感じた。それにしても鳥越氏でなければならない理由が分からない。宇都宮氏に比べて鳥越氏の方が名を知られ人気があり、だから票を獲得できると判断したからだろうか。もしそうならあまりに浅はか過ぎる。

 与党側にも野党側にも不可解な動きがあった今回の都知事選。特に野党側には有権者が納得できる明快な理由に欠け(鳥越氏の立候補した本当の理由、さらに週刊誌で取り上げられたスキャンダルへの対応など)、鳥越氏はだから小池氏の劇場型戦術にまんまと打ち負かされ惨敗した。野党陣営は猛省すべきだ。

 今回の都知事選では学ぶことが多かったはず。小泉で騙され、橋下や安倍で騙され、そして小池にも騙されてしまった。そろそろ有権者は目覚めなければいけないと思う。だがしかし、相変わらず多くの人々は感覚だけで判断してるようで、生活に追われ、余裕が持てないことは分かるが、思考停止のままなら永久に騙されつづける。

 じつは鳥越氏が当選しなくて良かったと思っている。もちろん右翼の小池氏が当選して良かったなんてまったく思わないが…。いずれにせよ、現在、日本の政治の流れがあまりに悪過ぎて、右であろうと左であろうと、誰が行政のトップに就こうと最悪の事態を招くかもしれないと覚悟した方がいい。