シンプルな生活

 貧乏な我が身の周りもいろんな物で溢れている。もう二度と使わないであろう物が、部屋の隅々に置かれていたり、押入れの中に収まっている。生活必需品と趣味に関する物だけに限定し、残りは全部処分したい。

 「人のための物」になるはずが、いつからか「物のための人」になる滑稽さ。だから、身辺を徹底的に整理する「断捨離」が流行るのだろう。断捨離にこだわらなくとも、もう少しスリムになりたい。

 外見の物事だけに留まらず、内面も整理出来てこそスッキリ爽やかになる。部屋や押入れをキレイに片付ければホッとするが、もっと気持ち良くなるために内面の清掃こそが必要だ。

 いつだって様々な思惑が絡み合い、ねじれ、よじれ、歪んでいるのが心や頭というもの。そんなモヤモヤ状態を整頓するのはむずかしいけど、だれもが抱える依存体質をほんの少し変えることで改善する。

 例えば、何かを欲しがると、似た物をいくつも揃えてしまうが、実際に使うのは、ひとつか、せいぜいふたつ。分散することなく、しばらくは小数精鋭に徹底してみる。まずは集中することが肝心。

 内面の整理整頓だが、ただしそれは心や頭を単純化することじゃない。逆に、感情をもっと豊かに、知識をさらに積み重ねることはとても大切。ところが上手にコントロールできないと、せっかくの感情や知識が十分に活かしきれない。

 自分だけの引き出しをたくさん持つのはとても良いことだ。ひとつの引き出しに何でもかんでも詰め込もうとするから混乱する。

 頭の中では大中小の引き出しをいくつも並べておきたい。いつ何時どこからでも自在に引き出せるよう心をリラックスさせる。それができるためにこそ身の周りをシンプルに整える。シンプル(簡素)こそが、広く、豊かで、奥深い。