なぜ、どうして?

 これまであたりまえのように世間に通じていながら、しかしよく考えると何だか変で、どうしてだろうと疑問が湧き、やがてこれはあたりまえではなく改善すべきだと確信にいたることがある。そんな中のひとつが、結婚した後、自分の姓を夫側か妻側のどちらかにしなければならないという法律ーー

 民法第750条『夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。』

 この法律自体妙だが、それでも一応、夫の姓でも妻の姓でもよいことになってはいる。にもかかわらず、今のところ90%以上(もっと多い?)の大多数が結婚すると夫の姓を名乗るようで、「夫に従う」という日本のいかにも保守的・閉鎖的な慣習がつづいていることを伺わせる。

 とはいえ最近、女性の社会進出への機運が高まるなどして夫婦別姓が大きく報じられるようになり、法律を見直す動きが活発になってきた。抵抗勢力はまだまだ根強いが、夫婦別姓は当然のこと、結婚しただけで自分の姓を無理やり変えなければならないのは理不尽だ。

 子供ができたときの対処だが、なんら問題なく、夫か妻の姓を選べばいいだけのこと。

 もう一歩進んで、自分の姓名は自分で決まられる風潮になればもっといい。家庭裁判所の許可を取れば変更可能だが、いろいろ制約もあるらしい。しかし、親という他者が付けた姓名ではなく、自ら選んだ姓名を名乗れる方が人間として自然ではないだろうか。二十歳の成人式を終えた後、自分の姓名を新たに自分で決められるようになってもいいんじゃないか。

 じつは、世界中で多くの人が既に自分の名称を自分で決めたりしている。芸名やペンネームで活躍する人は多いし、インターネットのメールアドレスなどはいい例で、ひとつだけでなくいくつも所持している人などザラだろう。

 夫婦別姓にしたり、自分の名前を変えたりすると、手続きが煩雑になるとか伝統が失われるとか必ず反対意見は出るが、役所や組織のために個人が犠牲になる必要はまったくなく、もっと自由で大らかな社会が築けたらいい。