梅雨入り前の心境

 いくら暑くても、6月上旬に扇風機を回したり、ましてやエアコンの冷房を入れたりするのは、これまでの人生でほとんどなかったが、近年、それが当然の事態になってしまった。

 東京で生活していた随分昔から冷房は7月に入ってからだと決意しつつ、我慢できず7月近く6月終盤になると扇風機を回し始めていたが、しかし今や5月が終わってしばらくしないうちから冷房のお世話になるとは。

 熱中症はもはや災害であり、毎年大勢の人がそれで死亡する。お年寄りだけでなく若い人も罹るケースが目立つ。とにかく無理しないこと、電気代は少し高くなっても仕方ない。

 さて、先週ほど暑くはないが、土曜から月曜にかけどんよりした曇り空、なんとなく蒸し蒸しするから梅雨入りしたかのよう。北陸地方の正式な梅雨入り発表は今週末くらいに出るかもしれない。

 この時期、玄関先ではヤマアジサイが咲いてるが、今年は昨年と違ってあまり元気がない。花の形状が小ぶりで咲いてる数も少なく、一体どうしたんだろう、剪定の仕方を間違えたのかな。チョロチョロ動き回るはずのカナヘビも全然姿を見せないし、新型コロナの影響がまるで足下の地面にまで及んでいるかのようだ。

 ところで13日(日)で石川県などへの「まん延防止等重点措置」が終了、併せて石川県独自の「緊急事態宣言」も解除され、今日14日(月)からようやく街中は賑わいを取り戻すと思われる。しかし、またしばらくすると新型コロナ感染者は増加に転じるだろうことは誰でも想像できる。

 首都圏や関西圏を中心にデルタ株(インド株)の蔓延がとても心配。ワクチンもどこまで新種株に有効なのかも不明。五輪開催を強行したら「東京五輪株」なんてのが生まれそうだし。ワクチンは接種しないよりした方がマシだと思うけど、既にワクチン接種後に200人近くが死んでる事実はしっかりと把握しておきたい。

外面を気にして生きるのは大変

 プロテニスの大坂なおみ選手が全仏オープンで記者会見を拒否し、その後自分がうつ病であると告白したのには正直ちょっと驚いた。また同時期、タレントの熊田曜子が夫のDVを理由に離婚を決意したとの報道にも意外な気がした。

 私はスポーツや芸能関係にあまり詳しくないので、裏事情の真相のほどは分からないが、頂点を極めた人や、いかにも幸せそうに見える人も、世間的な表情とは裏腹に随分苦労してるんだと改めて思った次第。

 その昔、会社員をしていた頃、職場の若い連中はいつも一緒、仲良く飲んだり遊んだりしてる光景が羨ましかった。ところが、実態はグループ内のリーダーに皆が従っていただけ。「一緒にいたくない」という本音を彼らの一人からそっと聞かされた時は信じられなかった。

 そう言えば「深キョン」の愛称で人気俳優の深田恭子も、最近適応障害の診断を受けしばらく休養するらしい。いつもニコニコして愛嬌を振り撒く彼女の印象だが、私生活は病気で悩んでいたとしたら気の毒になる。

 ちょっと古くなるが「男はつらいよ」であまりに有名な喜劇役者の渥美清や、米国の喜劇俳優で自殺したロビン・ウイリアムズなんかも、撮影現場を離れるとかなり神経質に振る舞い、いつも深刻ぶっていたとの噂を聞いたことがある。

 「8時だよ全員集合」で大人気だったザ・ドリフターズは、舞台上では飛んだり跳ねたりギャグを連発して大笑いさせてくれたが、楽屋裏ではいつもお通夜のようだったと加藤茶らのメンバーが語っていた。

 つまり表と裏ではまったく違うのである。あたり前と言えばあたり前、外面を気にしながら生きてゆくのは本当に大変なんだ。

 ところで表と裏、すなわち建前と本音が著しく違うのが政治の世界。表向き調子の良いことばかりを口にして国民をたぶらかし、裏に回れば利権と権力闘争に明け暮れ、常に自分中心でしか動かない。そんな連中が政界の中枢部に居座り威張ってる。

腐った五輪と裏事情

 IOCのバッハ会長「開催には犠牲が伴う」や、コーツ副会長「緊急事態下でも絶対やる」という一連の発言は、日本国民を無視、完全にバカにしている。さらにパウンドというIOC最古参委員が傷口に塩を押し付けるように「最終的なアルマゲドンが起きない限り開催されるし、たとえ菅首相が中止を求めても開催する」。

 バッハ、コーツ、そしてパウンドなどIOCの首領たち。とにかく奴等は東京五輪を金(カネ)の支配下で何がなんでも開催し、人の命なんか二の次ということ。五輪・パラリンピックとは、IOCの、IOCによる、IOCのために開催されるイベント、それが彼らの本音であることが明らかになった。

 結局、IOCは世界最大のマフィア組織であることを証明したわけだが、一方で悪党どもが集うIOCの言いなりになる大会関係者やアスリートたちとは一体何なんだと思ってしまう。

 右翼も左翼も、保守もリベラルも、そして何よりアスリートが、この際一丸となり日本全体でIOCに反旗を翻すべきだ。こんな出鱈目で腐り切った貴族たちのために、なんで開催地の日本が犠牲になる必要があるのか。

 日本の右翼は何をしてるんだ。右翼こそが売国的五輪に真っ先に反対すべきだし、こんな時こそ身を張って行動しなければ。右翼を名乗る大半はニセモノだな。普段どちらかと言えば多少はリベラルかなと勝手に思ってる私だが、今や日本が心配な私の方がよほど右翼的だと自覚している。

 今夏はいつもより猛暑になるらしく、電力不足を懸念する報道も出て、もし東京五輪を強行しようとすれば新型コロナと同様に熱中症も本当に心配。選手やスタッフから重症者が出てもおかしくない。

 今現在、内外の強い批判にもかかわらず、IOC、日本政府、東京都は五輪開催のため周囲には目もくれないが、五輪中止に踏み切れないのは、政界の裏事情も重なっているから、むしろこちらの方が大きいのかも。過去一連の不祥事(安倍晋三前首相の1億5000万円疑惑等)隠蔽のため、安倍晋三菅義偉の保身に東京五輪が利用される。

側から見れば退屈そうでも

 先週は雨が多く5月なのに梅雨に入ったかのようで鬱陶しかったが、今週は青空を拝められると思う。毎年のように天候不順を感じて戸惑うが、本格的な梅雨を迎える来月、さらにその先の真夏はどうなるか。

 実際、西日本は既に梅雨入りしたが、例年より二十日以上も早かったというから驚く。北陸地方が梅雨に入るのはいつ頃か分からないが、爽やかな初夏を十分に味わえないとしたらなんとも寂しい。

 新型コロナが感染拡大する最中、今のところ幸いにも私の日々の生活に大きな変化はなく、同じような時間が過ぎてゆくばかり。個人的にこれは安定して平和な証拠で何よりだが、側からはあまり面白そうでなく退屈な毎日に見えるだろう。

 だが、毎日が同じようでも面白くすることはいくらでもできる。要は旅すること、探ること、自分の内部を。インナースペースに限りはなく、どこまでも想像の翼を広げられたらいい。

 ところで、生きていると常に二つの側面を抱え込む。一つはやらなければならない事をする、もう一つはしたい事をする。一方だけに偏るような生き方はすべきではないし、させられてもいけない。

 炊事、洗濯、掃除、ゴミ出し、各種手続き、子供や親の世話…そして何と言っても生きる糧を得るための勤め、それらは毎日イヤでもやらなければならない事だ。一方、映画や音楽の鑑賞、読書、旅行、グルメ、ドライブ、物の収集、身体を鍛えるための運動、楽しむためのスポーツ…それらは自分がやりたい事の範疇に入る。

 やらなければならない事でほとんどの時間が費やされる人は不幸だし、やりたい事に時間の大半を費やすことができる人は贅沢極まる。後者のために前者が犠牲になるのを不公平と呼ぶ。

 新型コロナはいずれ必ず終息するが、人間同士の不公平は人類が生存する限り社会の隅々まで根深く蔓延しつづけるかもしれない。自分の内面を探りながら他者と共感しつつ、不公平是正の処方を探るのは一人でもできる重要な営みだ。

東京五輪 死の行進

 東京五輪に関して、大手IT企業経営者の口から開催中止や延期の声が出始めた。さらにトップアスリートの何人かが疑念を表明し、今後それは大きなうねりになる可能性があり、外国選手からかなりの参加辞退者が出始めると、それに引っ張られるように日本選手からも追随者が出るかもしれない。

 感染が拡大し、死者が増加してる最中に、どう考えても五輪でメダル争いしてる場合じゃない。半年以上をかけて取り組む野球やサッカーなど、長いシーズン中には無観客や数試合の試合延期・中止の措置も施しながら継続し、何とか形を整えることは可能だろうが…東日本大震災が発生した2011年や昨年の場合のように。

 だが四年に一度、多くの競技と種目が狭い地域に集中し、日程が隙間なく埋められ、僅か二週間程の五輪だからこそ危険な最中に開催はできない。ちょっと想像してみただけで分かる。開催一~二週間前、もし震度7の東京直下型大地震でも発生したら、東京五輪はどうなりますか? できるわけないでしょ。

 競技だけでなく、金や名誉や人生までもが集中する五輪だからこそ、大きな問題が生じた時は運営が甚だ困難になる。五輪を特別扱いし肥大化させたことこそが大問題なのである。例えば、国威発揚や商業主義という言葉が前面に出てきた時点でもう五輪の中身は著しく変質したのだ。

 関係者や多くの人々が五輪に翻弄、いや洗脳されている。今回の中止?を機会に運営のあり方を真剣に見直さなければ五輪に未来はない。

 じつは、一部の狂信的な人々を除き、関係者の多くが本音では中止したいんじゃないか。菅政権も、小池都政も、組織委員会も、アスリートの多数も、周囲に忖度するあまり、率先して中止の言説を口に出せないだけなのでは。責任から逃れるため、誰かが先にそれを言うのを望んでいるんじゃないか。

 誰がどう考えても東京五輪の開催は無理。もし強行して実施しようとすれば大災害となりかねず、正に「八甲田山 死の行進」であり、その後の太平洋戦争大敗北となる。残念ながら、今日に至るまで日本人は何も学ばなかった。日本の正気と狂気の分かれ目が刻一刻と迫る。

アイヒマンになってはいけない

 東京五輪中止を求める声が日に日に増し、ひょっとして小池都知事が6月の都議選を前にそれを言い出すのではとの憶測も膨らむが、おそらく五輪返上を口にする度量と勇気を小池百合子は持っていないだろう。彼女は豊洲市場問題で都民を裏切った過去があるので信用ならない。 

 しかし、東京五輪中止の可能性がないわけではなく、新型コロナの感染がさらに拡大し、東京も大阪のように医療崩壊すれば、五輪などできるわけがないので嫌でも中止に追い込まれる。(菅政権の対応を見る限り、口とは裏腹に彼らは五輪を中止したいのかと思えてしょうがない。)

 さらに、もしアスリートたちの中から出場辞退が増えるなら中止の可能性は大だ。現実的にアスリートは本当に弱い立場にあり、海外選手から出場辞退が出たとしても、日本選手にそれを期待するのはまず無理だろうけど。

 混迷の最中、アスリート自体に責任はないかのような言説も目立つ。しかし、アスリートだからといって批判の対象から外すわけにはいかない。彼ら彼女らには一体何のためにスポーツをしているのかを問いかけよう。言われるまま真面目に仕事に励んだ「ナチス・ドイツアイヒマン」にアスリートもなってはいけないからだ。

 昔も今も、スポーツの監督やコーチは選手に対し「自分の競技についてだけ集中しろ、自分が一番になる、自分が新記録を作る、ただそれだけを考えろ…」とかなんとか相変わらず教えてるんじゃないか。野球のことだけ、サッカーのことだけ、相撲のことだけ、走ることだけ、泳ぐことだけ…ユダヤ人を強制収容所に送ることだけ。

 スポーツでも何でもそうだが、選挙権を得た18歳以上なら、自分の分野だけでなく政治・経済を中心に社会問題についても考えるよう教えることこそが監督やコーチなど指導者の勤めのはずだし、他者に言われる前に本人自身が学ばないと。でなければ人間として成長しないし、成長できない人間が各々の狭い分野で一流になれても人間として三流以下になりかねない。

 繰り返すがアスリートたちに問いかけたい。あなたたちは現在の「ボッタクリ男爵がトップの極悪五輪」のために自分の実力を一生懸命発揮したいのですか? 医療崩壊に手を貸したいのですか? 何に対して真面目に真剣に取り組まなければならないのか、それを考えてほしい。アスリートだけでなく、これはじつは私たち一人ひとりが常に問われる命題なのである。

紀州のドンファン事件、不幸な男女関係

 「紀州ドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さんの不審な死に方で、元妻の須藤早貴が殺人容疑で逮捕された事件は、新型コロナと並び連日メディアでトップ報道されている。決定的な証拠もなく、まだ容疑者の段階にもかかわらず、彼女の素性が丸裸にされる報道姿勢には大きな疑問符がつく。

 怪しい、確かに私もこの元若妻は限りなく怪しいと思うが、しかしワイドショーでは新型コロナより最初に時間を割いて報道してるらしく、明らかにやり過ぎだし、人権の問題も孕み後々問題になりそうだ。

 テレビなどほとんど見ない私ですらこの事件の中身が新聞やネットからいろいろ伝わってくる。さて、私は視点を変え、容疑者の須藤早貴よりも、死んだ野崎幸助さんに焦点を当てながら考えてみたい。すなわち男と女の関係について。

 資産家の野崎さんは4000人もの女性と関係を持ったと生前豪語していたらしく、ある意味で凄い。しかし最後は須藤早貴のような女性と一緒になったことから、私は野崎幸助という男性、結局は全然女性を知らないまま終わったんだなと思う。

 たとえ一万人の女性と関係を持っても、愛情がなく信頼関係を築けなかったなら、それは自慢できるどころかむしろ恥を晒すようなもの。野崎幸助という人物、もしかして札束で女性を引っ叩いてきたのか。

 財力で女性をモノにしたがる男性は相手の気持ちを理解しようとせず、ひたすら自分の欲望を満たすためのみに女性を利用するだけ。要するに単なるマスターベーションの道具としか女性を見ようとしない。

 野崎さんについて思いを巡らすと、表面的には真逆の、典型的な不幸な男性像が浮かび上がる。私はニュースの断片からしか野崎さんのことは知らず、だからあくまで私の想像にしか過ぎない。死者にムチ打つような形となり申し訳ないが、現時点で、野崎さんには一方的なワガママな男性像しか見えてこないのである。

 死んだ(殺された?)野崎幸助さんも、容疑者の須藤早貴も、カネ(金)だけしか頭になく、相手を尊重し慮る配慮に著しく欠けていたようだ。